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2010/12/31

ネットでの転載やプライバシー侵害について考える

 つい先日のことですが、私の関係しているグループメールでのメールのやりとりが、無断であるブログに転載されていたことを知り仰天しました。メーリングリストやグループメールは限られたメンバー間でのメールのやりとりであり、当然のことながら公開されないことを前提に情報交換や意見交換をしています。たとえ多くの人に知ってもらいたいような内容であっても、非公開前提のメールを断りもなくインターネット上に公開してしまうなどというのは信じがたいことです。しかも、公開されていたメールには個人名まで入っていました。

 当事者からの要請によって当該記事は削除されたものの、インターネットのマナーを知らなすぎるとしか思えない出来事でした。当事者が気づかなければ、何年間も放置されていた可能性があります。

 それからしばしば気になるのは、著作権の問題です。他人のホームページやブログの記事を、出典も示さずに無断で転載する方がいるようですが、このような方は著作権に関する知識がまったくないとしか思えません。ブログやホームページを公開されている方は、無断転載が著作権法違反であることくらい認識していただきたいものです。

 自分の書いたものが個人のブログやホームページに無断転載された場合、そのサイトの管理人の連絡先が記載されていれば削除要請もできますが、大多数のブログは匿名のうえに管理人への連絡先が記載されているサイトはごく一部です。こうなると無断転載を見つけても削除要請すら簡単にできません。マナーを知らない人によって、プライバシーに関わる個人情報が公にされたなら、場合によっては重大な問題を引き起こすことにもなりかねません。ブログでの著作権やプライバシーについての意識は、全体として低いと言うのが私の率直な印象です。

 また、新聞や雑誌の記事をそのまま画像にして掲載したり、全文を転載されている方もいますが、これも厳密に言えば著作権上の問題が絡んでくることがあります。私は、新聞や雑誌記事であっても、基本的に全文を転載することはせず、必要な部分の引用にとどめるか、あるいは内容を要約して紹介するようにしています。

 かつて、植草一秀さんがご自身のブログに毎日新聞の記事を転載したところ、毎日新聞からブログ運営会社にクレームがつけられ、一時的にブログにアクセスできない事態が生じたことがありました。記事の全文転載は著作権法の「引用」には当たらず、違法だというクレームがついたのです。

 これについては植草さんの以下の記事に詳述されていますので、参照してください。

ブログ復旧のお知らせ

 また以下の記事も転載や引用をするうえで参考になります。

本ブログアクセス禁止措置についての考察(その1-再掲示)
本ブログアクセス禁止措置についての考察(その2) 

 ただし、新聞記事を全文転載しているブログなどはいくらでもあります。ところが新聞社はそれらに対しこまめに削除要請などをしている様子はありません。「本ブログアクセス禁止措置についての考察(その2)」にも書かれているように、植草さんが転載したものと同じ毎日新聞の記事を全文転載したブログが存在するのに、植草さんだけを著作権法違反だとしてクレームをつけたのであれば公平性に欠けますし、毎日新聞の削除要請には恣意的なものすら感じます。

 新聞や雑誌、テレビなどプロの編集者が関わるメディアが主体であった頃は、プライバシーや著作権などは比較的厳密に守られていたと思うのですが、誰もが簡単にインターネットで情報を発信することができるようになった現代では、チェック体制がなくなってしまったも同然です。とりわけプライバシーに関わる情報を公にしたことで何らかの被害を及ぼした場合、「知らなかった」では済まされないことを、アマチュアブロガーは肝に銘じるべきでしょう。

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