あまりにも情けない環境省
「ついに十勝三股に侵入したセイヨウオオマルハナバチ」にも書きましたが、とうとう今年の8月に大雪山国立公園の十勝三股地区にセイヨウオオマルハナバチの女王蜂が侵入してしまいました。
このことに関して十勝自然保護協会と北海道自然保護連合が11月20日付けで環境省に質問書を出しましたが、11月30日付けで回答がきました。以下をお読みください。
この回答から、環境省は8月下旬には三股への侵入の報告を受けていたことがわかります。それにも関わらず、自からその事実を報道機関等に公表することはありませんでした。私が11月1日に上士幌自然保護官事務所に電話で聞いたときも、不可解なことに「夏に糠平で確認された」と事実と異なる説明をしたのです。どうしてこんな説明になったのでしょう?
十勝自然保護協会では十勝三股にセイヨウオオマルハナバチが侵入することを懸念し、かねてからルピナスなどの外来種の駆除を求めてきました。しかし、環境省は何もしませんでした。自然保護団体から責任を追及されることを恐れ、不都合なことを隠したかったとしか思えません。隠しとおせることではないのに、情けない限りです。
回答によると、環境省は三股における防除活動を来年の春に向けて準備を進めるとしています。私が電話で対応策について尋ねたときは「何もしていない」とのことでしたし、防除活動の計画もないと言っていました。ところが一カ月後の30日には防除活動の準備を進めていると回答しているのです。自然保護団体が質問書を出して十勝三股への侵入が公になってしまい、大慌てで駆除対策を計画したのではないでしょうか。
この回答で、環境省の外来種対策の姿勢がよくわかります。環境省は以下のように説明しています。
環境省所管地のある十勝三股には、今回発見されたセイヨウオオマルハナバチや、ご指摘のルピナスに限らず、様々な自然環境保全上の問題や課題があります。これらの問題や課題は関連するものも少なくなく、総合的に取り組むことが必要となっております。当事務所では、現在、大雪山国立公園としての十勝三股を含む東大雪地域全体の整備基本計画を、地域の方々にも参画頂きながら策定中ですが、この地域に位置する十勝三股地区の自然環境の保全・管理のあり方についても、その中に位置づけることとしており、そのうえでルピナスやカラマツなどの除去を含め、問題と課題解決に向けた取り組みを実施してまいります。
つまり外来種の駆除については、地域の方たちに参画してもらって策定中の東大雪地域の整備基本計画がまとまらなければ決められない、というのが環境省の姿勢です。国立公園内の外来種の駆除対策ですら、地域の方たちにお伺いをたてなければ決められならないないというのですから、とことん情けないというしかありません。三股のルピナスが繁茂しているところは環境省の所有地なんですけどね!
回答書では、報道機関等に情報提供をしなかった理由や、ルピナスの駆除などの予防措置をとらなかった理由についても答えておらず、都合の悪いことは無視を貫いています。よほど責任追及をされたくないのでしょう。
一つだけ評価するなら、速やかに回答がきたということです。近年は、環境省は質問書を出しても回答すらしないことが多かったのです。回答の中身はともかくとして、質問に対して回答をするということについては、開発局や北海道のほうがきちんと対応していました。
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