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2010/11/17

驚くべき日本の裁判所事情

 昨日は、検察と裁判所の問題 について書きましたが、JanJanBlogに三上英次さんの裁判に関する記事が掲載されていましたので、引き続き裁判の話題です。

 まず、以下の三上さんの記事をお読みください。

明日(あす)からできる、司法改革~♪〈前〉

明日(あす)からできる、司法改革~♪〈後〉

 多くの市民にとって、裁判はあまり縁がないものかもしれません。だからこそ、日本の裁判の実態がよくわかっていないともいえます。しかし、この記事に出てくる大高正二さんの主張をよく読んでください。

 私は裁判の傍聴をすることが時々あります。また「えりもの森裁判」では原告になっており、この裁判では裁判長が二回替わっています。何人もの裁判長を見ていると、裁判長の裁判に対する姿勢というのが分かってきます。原告と被告、双方の主張にじっくりと耳を傾ける裁判長もいれば、書面をちゃんと読んで主張を理解しているのか?と思えるような裁判長もいるのです。どうみてもヒラメ裁判官で、はじめから結論を出しているのではないかと思うこともあります。大高さんは、以下のように言っています。

 裁判官は、まず、どちらに勝たせるか、目星をつけます。個人が国を訴えている場合は、国を勝たせますし、社員が大企業を訴えている場合は、大企業を勝たせます。裁判で国を負けにしたら、その影響ははかり知れないです。高裁以下の裁判官人事は、最高裁が握っており、最高裁の人事は、政府(内閣)が決定します。最高裁の裁判官は、政府(国)に対して「最高裁判事にしてもらった」という恩義を感じていますから、国を負かすような判決は書きにくい。そして、トップの最高裁の意向を考えれば、末端の地裁レベルの裁判官であっても、そうそう国の政策を誤りだとしたり、個人の人権を侵害していると認定したりすることは勇気がいるのです。

 ここには、ヒラメ裁判官を生み出す裁判所の人事権や裏金問題があるのです。

 裁判というのは原則公開です。ところが、実際に裁判を傍聴してみるとわかるのですが、当事者が積極的に法廷での意見陳述などを申し出ない限り、法廷では何を争っているのかちっともわかりません。せっかく傍聴にいっても数分で終わってしまい、何が何だかわからないということが普通なのです。なぜかというと、原告や被告は主張を書面にして期日前に裁判所に提出しており、口頭弁論の期日に当事者が口頭で主張するということがほとんどありません。裁判長が分からないことなどを質問したり、次回の期日を決めたりして終わってしまいます。

 これでは傍聴者は何を争っているのかさっぱり分からないので、弁護士によっては口頭弁論の後で傍聴者に説明会を開いたりするのです。札幌地裁で行われていた女性自衛官の人権裁判でも、頻繁に原告が意見陳述を行い、裁判の後で弁護士が傍聴者に説明会を開いていました。支援者の傍聴が多い裁判などでは、このようなことがよく行われています。

 あとは、プライバシーなどに配慮しながら、当事者が書面をインターネットで公開するという方法もあります。昨日紹介した生田弁護士による裁判でも、訴状や準備書面を公開しています。しかし、こんなことをしなければ、原則公開とされている裁判で何が争われているのか分からないというのはとてもおかしなことです。

 また裁判の迅速化のために、非公開の弁論準備手続で争点や証拠の整理を行うこともありますが、非公開でやるなら「公開の原則は何なのか」ということにもなります。光市事件のルポを出版したインシデンツと著者の増田美智子さんが福田君から提訴された事件で、インシデンツがホームページに福田君側の準備書面の一部を公開したことに対し、福田君側が削除と損害賠償を求めましたが、もし福田君側が公開の法廷で口頭で陳述していればこんなことはありえないことです(これについては「福田君の弁護士さん、いくらなんでも暴走ではありませんか」参照)。

 ところで、私は20代のときに仕事である刑事事件の傍聴のために東京地裁に通ったことがあります。その頃は何と、傍聴人はメモさえ禁止されていて大変驚いたものです。誰もが、公開原則の裁判でなぜメモもできないのかと不思議に思うのではないでしょうか。でも、当時はそれが現実でした。今はメモは認められていますが、録音は禁止です。でも、これもおかしいですよね。

 三上さんは記事で、裁判所の規則には「世の中の常識から見て、はなはだおかしいものがある。たとえば、歩道上から、裁判所を撮るのはOKだそうだが、敷地内から外の歩道を歩く人を撮るのは『裁判所内でシャッターを押すことになるから』禁止だそうである」と書いていますが、これなんかは本当におかしなことです。よくテレビのニュースで裁判所に当事者や弁護士が入っていく場面が出ますが、これは裁判所の玄関の前にテレビ局の記者やカメラマンが構えて撮影しているのです。マスコミがこの規則を犯しているのに、裁判所は黙認しているのですからいい加減なものです。

 さて、裁判所の前で日本の裁判の問題を訴えつづけている大高さん、実は11月2日に丸の内警察署に逮捕されてしまいました。いったい大高さんの行動のどこが違法行為だというのでしょうか? 自分たちにとって都合の悪いことに対しては何でもやる、という警察の強引な姿勢が、ここに表れていると思います。以下、大高さんの動画です。

 最後に、生田弁護士が問題にしている最高裁の裏金については、以下の記事をお読みください。幹部裁判官の給料の一部をピンはねして裏金にしているという、驚くべきシステムが語られています。出世した裁判官と出世しなかった裁判官では、ざっと試算して10年で生涯年収にして1億円もの差がつくのだそうです。ヒラメになるのとならないのでは、庶民には信じがたいような待遇の差別があるのです。それにしても、人間のお金への欲って際限がないのでしょうか。

大スクープ! コレが「最高裁の裏金」捻出のカラクリだ!

 警察も検察も裏金があり違法捜査が横行していますが、最高裁も裏金に浸かって腐りきっているわけです。これじゃあ、まともな判決が出るわけがありません。大高さんの主張はもっともなことです。

 こんな日本の裁判所の裏事情を知る人は多くありません。この事実を知って日本の裁判がおかしいと思う方は、是非まわりの人に伝えて広めてください。

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