「とかち・市民『環境交流会』」の矛盾
30日(土)は、帯広市のとかちプラザで毎年行われている「とかち・市民『環境交流会』」に行ってきました。このイベントは、帯広環境保全推進会議と帯広市が主催しているものです。開催・募集要項によると、「『環境』というキーワードのもとに、子供たち、市民(諸団体)、企業、行政などが集まる場です。多くの参加者や来場者が、発表や展示、講演会を通した意見交換や仲間づくりなどにより、環境に対する認識を新たにし、幅広い市民の環境活動への参加につなげていくことを目的とします」となっています。
土曜と日曜の二日間、とかちプラザ一階で市民団体や企業の展示が行われ、隣接した会場では活動報告や提案発表のほか講演会などの企画があります。
久しぶりに参加して、まず一番に感じたのは、展示スペースでの企業のブースの多さです。下の写真をご覧ください。「のぼり」が立っているのが企業のブースです。
たしか、以前はこんなに企業がのさばっていなかったと思うのですが、今年は展示スペースの三分の二くらいが企業で占められていました。太陽光発電のパネルを扱っている会社や、LEDなどの照明を扱っている会社のほか、北海道電力などのブースがあり、まるで環境産業の宣伝の場のようになっています。
主催者である「帯広環境保全推進会議」は事業者なども会員になっているのですが、「市民『環境交流会』」と謳っているイベントに企業が群がっている光景はなんとも異様です。
私の関わっている十勝自然保護協会は、「大雪山国立公園の富村ダムでおきている自然保護上の問題」というテーマで、活動報告とパネル展示の両方に参加しました。この富村ダムというのは大雪山国立公園の山奥に北海道電力が造った発電用のダムです。十勝川源流部原生自然環境保全地域のすぐ近くにダムを造り、自然に負荷を与える堆砂除去作業を強行する北電を批判する内容です。ところが、その北電を批判するパネル展示の向かいは、何と北海道電力帯広支店のブースになっているのですから、笑い話です。
ところで、十勝自然保護協会のブースの近くにいたら、「こんにちは」と声をかけられました。声をかけた方のお顔を見ても、どなたなのか思い出せずキョトンとしていると、「そろそろどうですか?」とたたみ掛けてきます。よく見ると北電のブースの隣は、京セラの太陽光発電のブースです。それで、人の顔をろくに覚えない私は、太陽光発電を執拗に勧誘した京セラのセールスマンのことをようやく思い出しました。
結局、京セラは顧客に不利な説明はほとんどせず、きわめていい加減な勧誘をしたのです。その経緯については以下の記事をお読みください。
この記事で書いているように、京セラは私が念押しした「何年で元がとれるのか」という試算をせず誤魔化すような説明をしました。こんな企業と契約する気などさらさらないので、私の頭から京セラの太陽光発電のことなどとっくに消え去っていました。私のことを覚えていて声をかけてきたセールスマン、私がネット上で批判記事を書いていることもご存知なかったとみえます。
行政が環境問題の啓発活動をするのはいいのですが、所詮、環境を謳っている企業にとって「環境」はあくまでも宣伝のための看板でしかなく、自分たちの利益が優先なのです。そういう企業と、純粋に環境保全や自然保護に取り組んでいる市民団体を一緒にして展示をすることに無理があり、矛盾が生じてしまうのです。
市民のための環境交流会ならば、企業が幅を利かせるような展示は何とかしてほしいものです。もっとも企業のブースが目立ってきたのは、市民団体の参加が減っていることが関係しているのかもしれません。たしかに、来場者を見ていても、このイベントを目的にきている市民はほとんどいないようで大半が関係者のように感じられました。関係者ばかりでは、目的もほとんど達せられないでしょう。
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