カメムシ・スキャンダル
先日、「カメムシ防除の陰にあるもの」という記事を書きましたが、9月8日の北海道新聞夕刊の「魚眼図」というコラムに、帯広畜産大学の岩佐光啓教授が「カメムシ・スキャンダル」というタイトルで、斑点米の等級選別のことを書いていました。
これによると、2007年2月には68団体、145個人が、米の検査規格の見直しを求める要望書を農水省に出しているそうです。それから3年以上も経っているのに、農水省は動きを見せません。評論家の船瀬俊介さんは「官僚が農薬メーカー、流通業界、農協などとともに既得権益を守るため」だとして、このような構図をカメムシ・スキャンダルと呼んでいるそうです。
「カメムシ・スキャンダル」という言葉を聞くと、なんだか「地球温暖化スキャンダル」を連想してしまうのですが、カメムシの方は地球温暖化よりずっと真実味のある話しです。
私は先の記事で、農水省が斑点米の等級選別を廃止しないのは、流通業者と農薬会社が関わっているからだろうと書いたのですが、農家に農薬を販売しているのは農協ですから、当然農協の既得権益も絡んでいるわけです。この関係を崩すのは大変ですが、消費者が事実を知って声をあげていくしかないでしょう。
ところで、先日ある方から斑点米についての情報をいただきました。この方はスーパーで購入した玄米の斑点米を数えたところ、三等米に該当する数の斑点米が含まれていたそうです。また、その玄米を精米すると、三等米だということは分からなくなり、食味もまったく変わらないそうです。
玄米では三等米も普通に出回っているのでしょうか。三等米として安く買い取った米も、選別機で斑点米を取り除いて売れば、小売店は一等米と同じ値段で売れます。ここで流通業者が儲かるわけです。
消費者は騙されていると同然です。こうしたことからも、斑点米をつくるカメムシを防除することが、いかに無駄なのかが分かります。不要な農薬によって消費者や農業従事者が健康を脅かされ、環境が汚染され、ミツバチなどにも影響を与えていることに怒りがわいてきます。
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