基本高水というまやかしを認めさせるのが先決
本体が未着工になっているダムについて、事業を継続するか中止するかの判断基準を検討していた国交省の有識者会議は、ダムによる治水と、ダム以外の代替治水案のコスト比較を最重視するという結論になったようです。
しかし、洪水対策をするための根拠となっている基本高水流量の問題を抜きにして治水対策を語るのは意味がありません。八ツ場ダムの基本高水流量が捏造されていたことについては「八ッ場ダムで暴かれた過大な基本高水流量」に書きましたが、こうした捏造や数字操作による過大な基本高水流量の設定があるからこそ、ダムやらダム代替案による治水事業がつくられるのです。捏造データによってつくりだされた治水事業は、それ自体が捏造ともいえるものです。基になっている捏造データ、数字操作データを質すことからやらなければ意味がありません。
たとえば、十勝川水系河川整備計画(案)に対し、十勝自然保護協会は様々な問題点を指摘しました。この整備計画には、どうしてこんな数字が出てくるのか理解できない過大なピーク流量が示されています。こうしたことについて公聴会で意見を述べたのですが、開発局ははぐらかした回答しかしていません。開発局のはぐらかしについては、十勝自然保護協会のブログで詳述に解説しています。基本高水流量の根拠を徹底的に検証すれば、河川整備事業の大半は不要になるでしょう。
十勝川水系河川整備計画(案)に当会の意見は反映されたか(1)
十勝川水系河川整備計画(案)に当会の意見は反映されたか(2)
十勝川水系河川整備計画(案)に当会の意見は反映されたか(3)
十勝川水系河川整備計画(案)に当会の意見は反映されたか(4)
*この記事で基本高水の問題点を指摘しています。
十勝川水系河川整備計画(案)に当会の意見は反映されたか(5)
基本高水流量を根本的に検証し直さない限り、根拠もあやふやなまま、堤防のかさ上げや強化、河道の直線化や掘削、河畔林の伐採などといった自然破壊を伴う治水事業に半永久的に税金を投入することになるのです。また、ダム以外による治水よりダムの方がコストが安いということになれば、民主党が待ったをかけたダム事業がまた復活ということになります。
問題はそれだけではありません。ダムによる治水か、ダム以外の治水かという二者択一にしてしまうと、自然保護の視点が欠落してしまいます。ダムは河川生態系の破壊、河床低下や海岸の浸食など、さまざまな問題点があるのですが、コストだけで比較してダム建設を認めるなら自然保護・生態系保全の視点は無視されることになってしまうのです。だいたい、コストなんていくらでも水増しできるでしょう。
まずは、関良基さんによって明らかにされた国交省のデータ捏造を国交省に認めさせ、基本高水というまやかしを止めさせることが先決です。まさのあつこさんのブログで、データ捏造に関する関良基さんのブログ記事を知りましたので、以下に紹介させていただきます。
最近のコメント