女性自衛官のセクハラ裁判で原告が勝訴
JANJANの記事やこのブログでも取り上げ 、私も二回ほど傍聴した女性自衛官のセクハラ訴訟の判決が、29日に札幌地裁で言い渡されました。原告の全面勝訴です。この日の裁判は傍聴できなかったのですが、報告が「女性自衛官の人権裁判を支援する会」のホームページに掲載されています。以下の「全面勝訴」という記事を参照してください。
*リンク切れのため削除この記事にリンクされている毎日新聞の記事が、いちばん詳しく報道しているようです。
この裁判では、男社会である自衛隊の中で、このような悪質なセクハラが平然と行われ、それを告発しても誠意のある対応をするどころか、加害者を擁護して被害者に嫌がらせをするという自衛隊の実態が明らかにされました。損害賠償額は、加害男性の暴行による慰謝料200万円、監督義務を尽くさなかった上司らの処遇による慰謝料を300万円としており、雇用者の対応にも重きを置いた判断になっています。告発に対して退職強要をはじめさまざまな嫌がらせをしたのですから、当然の結論でしょう。
加害者は、性的暴行について「合意の上だった」と主張していました。しかし、以下の原告の訴えの概要を読めば、これが合意などではないことは明白です。
*リンク切れのため削除セクハラ事件において加害者が「合意」などと主張するのは、セクハラという人権侵害行為を正当化する際の常とう手段です。「合意」であれば、不法行為ではなく人権侵害にはならないというわけです。
しかし、原告女性は職場で既婚の上司から勤務中に性暴力を受けたのであり、これを合意だと主張するというのは呆れるばかりです。自衛隊という職場での権力関係によって、被害女性が上司の指示を断れない状況にあったのは自明です。何しろ、自衛隊の中では上司の命令には絶対服従ですから。
セクハラ行為だけではなく、告発に対する職場ぐるみの嫌がらせに対し原告が果敢に闘ったこと、そしてその主張が裁判で認められたことは高く評価しなければなりません。自衛隊の男性優位体制と権力構造がよく分かる事件でした。国はこの判決を真摯に受け止め、職場環境を改善すべきでしょう。
それにしても、日本という国は自衛隊に限らずまだまだ男性優位社会であり、女性の人権がとても軽視されていると感じざるを得ません。セクハラをめぐるこうした男性優位の社会体制については以下のサイトでも言及されていますが、これは男性の方たちには今ひとつ理解されにくいことなのかも知れません。
「女性を一個の人格のある存在としてではなく、単なる性的存在とみなしたとき、あるいは人格を認めないときにハラスメントは生じる」まさにその通りだと思います。
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