菅首相の消費税と普天間問題の背景
7月22日号の「新婦人しんぶん」を見ていたら、小森陽一さんが「憲法なんでもゼミナール」という連載記事で、菅首相の「消費税10%」発言と普天間問題について、カラクリをわかりやすく指摘していたので、簡単に紹介します。
まず、消費税問題について。
国際通貨基金(IMF)は2010年6月14日に日本経済に関する年次審査報告を発表し、それを受けたIMF理事会は、日本の財政の健全化は消費税の段階的引き上げに焦点を置くべきだと提言したそうです。2011年から消費税の段階的引き上げが必要であるとし、最大22%という税率まで明記されています。
IMFは各国の出資割当額に比例して投票権が割り当てられている機関で、日本はアメリカについで第二位。また、最大の出資国であるアメリカの巨大資本の意のままに動いているIMFには、一部の巨大資本投資家たちのマネーゲーム、資本主義のモラルハザードを生んだ責任があるといいます。つまり、菅首相の消費税増税発言は、菅直人氏が首相になる前に大臣をしていた財務省や大企業減税を求める財界の意向、そしてアメリカの意向を受けたものなのです。
普天間問題については以下のように説明しています。
「普天間基地問題で鳩山由紀夫政権が迷走した最大の要因は、外務省と防衛省の高級実務官僚が、首相の意向を完全に無視して、アメリカの軍部の意向だけを忖度しつづけたことにあった事実が、鳩山辞任劇の後マスメディアでようやく明らかにされました。
『日米合意』はゆるがないという、菅政権の普天間問題に対する、沖縄県民と日本国民の願いに背く姿勢は、こうした高級官僚たちの意のままに動いていることにほかなりません。『政治主導』がまやかしだったことは明らかです」
普天間問題は、日米安保体制で利権をむさぼっている者たちの意向だけで進められているといいます。
鳩山前首相は「脱官僚」と主張していましたが、結局、そこからの脱却などはまったくできなかったということです。小森さんは、日本が真正面から沖縄県民や国民の意志に基づいて、アメリカと交渉することで事態は開かれるといいます。
私は一昨年北欧に旅行をしましたが、物価(つまり消費税)の高いことを実感しました。それでも、福祉や教育などが充実していて不安のない生活を送れるからこそ国民は高額の消費税も受け入れているのです。消費税増税を口にするのであれば、まず大企業を優遇するような体制をなくし、格差をなくし、ワークシェアを進め、無駄な公共事業をなくし、福祉や教育を充実させるという体制づくりを実行しなければなりません。
薄給で働かざるを得ない非正規雇用者、年金すら払えない低所得者にとって消費税増税は死活問題です。日本では1989年に消費税が導入され、後に税率が3%から5%に引き上げられましたが、福祉や医療、教育などの政策はアメリカに追従した小泉政権の下で、改善されるどころか悪くなる一方でした。財界やアメリカの意向を受けての消費税増税など、いったいどれだけの人が納得するというのでしょうか。
消費税増税発言も、普天間問題も、国民の声が置き去りにされて暴走しているのです。自分の利益のことで頭がいっぱいの官僚や大企業ばかりにいい顔をするのは、いいかげんに辞めてもらいたいものです。
民意を重視してこそ国民から支持される政府になれるのです。鳩山首相も普天間問題であんなみっともない辞め方をするくらいなら、せめて初めの発言を貫き毅然とした態度を示して欲しかったと思います。
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