道南のイソコモリグモ調査
昨年はイソコモリグモの生息地調査で、道北・道東・日高の海岸を見て回ったのですが、行けなかったのが道南と根室地方、知床半島です。といっても知床半島は岩礁海岸なので、おそらく生息適地はほとんどないと思いますが。ということで、今年は5月26日から28日にかけて渡島半島に調査に出かけました。渡島半島も岩礁海岸が多いのですが、川の河口部などには砂浜もあります。今回は太平洋側の内浦湾(噴火湾)から函館を経て、松前から北上するコースをたどりました。
札幌から南下してはじめに砂浜が現れるのは内浦湾です。内浦湾にはけっこう長い砂浜が続いており、以前、通りかかったときに1カ所だけですが立ち寄ったことがあります。その時はイソコモリは確認できなかったので、もう少しきちんと見たいと思っていたのです。幅が狭く浸食を受けて段丘状になっているところではやはり巣穴は見つかりません。3カ所目に降り立った砂浜で巣穴を発見。ここは幅も広く、生息に適した環境ですが、密度はそれほど高くないようです。おそらくかつては内浦湾の砂浜海岸に広く分布していたのでしょう。しかし、今は生息している場所が限られているようです。当然といえば当然ですが、海岸浸食による生息地の減少はこの内浦湾にも押し寄せています。このまま浸食や改変が進めば、やがて生息地が消えてしまう可能性もあります。
函館湾は、かつては生息地があったのかも知れませんが、今はほぼ壊滅状態です。松前半島の先端も岩礁海岸ですので生息不可。松前から日本海にそって北上していき一番はじめに確認できた生息地は松前町の小鴨津川河口でした。ここから積丹半島の付け根の岩内までの間で約10カ所ほどの海岸を調べましたが、8カ所でイソコモリを確認できました。ほとんどが川の河口部の小規模な砂浜なのですが、こんな砂浜でも細々と生きています。イソちゃんはなかなか逞しい! これで渡島半島にも点々と生息地が隔離分布していることが明らかになりました。といっても、温暖化などで海面が上昇したならこういう生息地は消えていくのでしょうね。道南のイソちゃんたちは、いつまで生息していられるのでしょうか。
ちょっと驚いたのは、なんと海岸の砂浜に橇が置いてあったこと。挽馬用の橇のようですが、砂浜で挽馬の訓練をしているのでしょうか。バギー車よりダメージは少ないかもしれませんが、巣穴の上を橇で走られたなら、イソちゃんにとってはさぞかし迷惑なことでしょう。
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