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2010/06/11

渡島半島の森と植物

 遠いということもありこれまで渡島半島にはほとんど縁がなかったのですが、先日のイソコモリグモ調査で、渡島半島の風景はやはり道東とはかなり違って本州の要素が強いことを実感しました。

 なにしろ、植林されているのは圧倒的にスギです。トドマツやカラマツの造林地もあることはあるのですが、でもスギが大半。この風景だけを見たら、なんだか本州に来たような錯覚にとらわれます。もっとも全道に植えられているカラマツも本州から持ち込んだのですから、北海道の造林地は外来の樹種が非常に幅をきかせています。スギにしてもカラマツにしても成長が早いために造林木として使いたいのはわかりますが、やはりもともとそこにない樹種を山に広範囲に植栽するというのはどんなものでしょうか。

 もうひとつ道東や道北と違う印象を受けるのは、やはりブナの存在でしょうか。そのほかにも道南にしか分布していない樹木があります。イソコモリグモ調査のついでに、大千軒岳の登山口まで行ってみました。この写真は登山口なのですが、右側の木はブナで左側はサワグルミ。どちらも私の住んでいる道東にはないので馴染みがないのですが、サワグルミはいわゆるクルミの形をした実をつけません。樹形も日ごろ見慣れているオニグルミとは全く違います。こういう光景を見ると、やはり道南は本州との関連性が強いのだとつくづく感じます。

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 ところで、大千軒岳はシラネアオイの群生地があることで有名です。登山口に行くまでの間の林床にも点々とシラネアオイの優しい藤色の花が咲いていました。山の上の方には大群落もあるようですし、機会があれば登ってみたい山です。体力が一番心配ですが。

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 大千軒岳への林道からの景色もなかなか壮観です。道東では林道を車で走っていても、谷底にころげ落ちたら即お陀仏!という感じの、恐怖感を覚えるような峡谷は少ないのですが、道南の山々はけっこう急峻で、植生だけではなく地形も本州との共通性が感じられました。

 松前公園にも寄り道をしたのですが、ここにはツバキが植栽されていることを知りました。八重桜の花がまだ咲き残る時期に、ツバキの赤い花が咲いている光景はなんとも不思議です。何しろ、新緑と椿という組み合わせなのですから。松前から日本海側にそって北上すると、民家の庭先に常緑広葉樹とおぼしき庭樹が点々と植えられており、赤やピンクの花をつけていました。遠目にはツバキあるいはサザンカの園芸種のように見えましたが、こういう光景も道南独特のものでしょう。

 そういえば道南ではクモの採集記録などがほとんどありません。クモの調査においては空白地帯ともいえるところなのです。本州との共通種で道南だけから知られているクモもあります。いつかじっくりと調べてみたいものです。

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