十勝毎日新聞社が独禁法違反か?
北海道の十勝地方には「十勝毎日新聞」という夕刊のみの地方紙があります。毎日新聞という名がついていますが、全国紙の毎日新聞とは無関係です。
その十勝毎日新聞の一部の販売店への卸価格変更が独占禁止法に抵触するとのことで、新聞問題に精力的に取り組んでいる黒薮哲哉さんがご自身のホームページで指摘しています。
新聞の卸価格に地域差が、十勝毎日新聞の店主らが公取委に内部告発、新聞特殊指定違反で
卸価格の差別的な引き上げが行われたようですが、おそらく経営的にかなり苦しくなっているのでしょう。
十勝毎日新聞、通称「かちまい」は、地元の話題が多く庶民的な新聞ということで根強いファンもいるようですが、私はこの新聞を購読する気にはなりません。
かつて、大雪山国立公園の中を貫く「士幌高原道路」が計画され、その建設の賛否をめぐって大きな話題になりました。この道路は、ナキウサギの一大生息地であり、また希少な動植物の生息地となっている然別火山群の風穴地帯を破壊するものでしたが、建設主体である北海道は反対の声を押し切って建設しようとしたのです。自然保護団体は署名活動に取り組み、全国から20万筆を超える反対署名が集まりました。いくつもの自然保護団体が反対の声を上げ、「大雪山のナキウサギ裁判」も起こされて法廷での争いにまで発展しました。
当時、地元紙である十勝毎日新聞と北海道新聞の十勝版には士幌高原道路に関する記事が頻繁に掲載されたのですが、両紙の論調は明らかに異なっていました。北海道新聞が市民の立場に立って建設に疑問を投げかける論調の記事が多かったのに対し、十勝毎日新聞は建設推進派に配慮した論調の記事が多かったのです。
こうした傾向は、士幌高原道路問題に限ったことではありません。十勝の林道を利用して開催された世界ラリー選手権(WRC)では十勝毎日新聞は主催者とともにラリーを積極的に推進する立場をとり、ラリー開催時には紙面がラリー関係の記事で埋まるような状況でした。結局、十勝毎日新聞というのは御用メディアの色が濃いのです。
十勝地方では、北海道新聞と十勝毎日新聞が顧客獲得で競争している状態です。そのためか、北海道新聞の夕刊は全道版と十勝版が別々になっています。十勝版を独立させて身近な話題を集めることで、十勝毎日新聞と対抗しているのでしょう。もっとも、私にとっては「道新の十勝版夕刊」はほとんど読むべきところがなく、日ごろから「5分で読める道新夕刊」などと言っていますが。
十勝では両紙を読みたいとの理由で、北海道新聞の朝刊と十勝毎日新聞を購読している家庭も多いようですが、そうすると費用面でかなりの負担になります。近年はどちらか一つにする人も多いのでしょう。あるいは、新聞の購読自体をやめてしまう人もいるでしょう。人口減に加え新聞を読まない人が増えているのですから、地方の小さな新聞社は経営的にも大変なのだと思います。今回の、卸価格の差別的引き上げの背景にはこうした事情があるのではないでしょうか。
それにしても、新聞社が法に抵触するようなことを平然とやっていることには呆れます。この時代、新聞社が読者を獲得したいのであれば、御用メディアから脱し、市民の支持を得られる独自の取材記事を書くしかないと思うのですが。
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