銭函海岸の風力発電計画を考える(その5)
2月27日に札幌で北海道自然史研究会の研究会(大会)があり、銭函海岸の自然を守る会代表の後藤言行さんと、アセス書にまつわる記事を書かれた後藤美智子さんにお会いすることができました。その後藤さんから情報提供がありましたので随時紹介したいと思います。
後藤さんのところには、日本風力開発(株)について、以下のような情報が寄せられているとのことです。
・佐世保市宇久島では日本風力開発が「生活環境に影響はない」と言って「承諾書」をとっていたが「説明が事実と異なる」と住民は破棄を通告。市長は「地元とも合意が図られない限り本計画の実施は難しい」と議会で表明するほどになっている。
・南房総市では日本風力開発が補助金申請を出した約4か月後に「環境影響評価(アセス)方法書」の縦覧を実施。市役所の庁舎内で実施したのも小樽市と同じ。
どうやら全国で、住民に事実と異なる説明をしたり、アセスの縦覧前に補助金を申請するなど、地域住民の声を無視した強引なやり方をしているようです。化石燃料からのエネルギー転換が必要なのは分かりますが、風車は自然破壊や低周波音による健康被害、バードストライクなどさまざまな問題を抱えているのです。なぜ、こんなふうに住民を無視して強行しなくてはならないのでしょうか。
また、「一般社団法人新エネルギー導入促進協議会」という補助金の申請受付、決定を経産省より丸投げされている組織があります。この組織は、昨年度は300億円を扱い、小樽銭函風車は「設計設備費」として6億7千万円とのこと。今年は500億円を取り扱うそうです。文書の開示を求めると「日本風力開発が『株主の利益を損ねる恐れがあるから』という理由で拒否しているので出せない」と回答したそうです。新エネルギーの導入をめぐり巨額の費用が動いており、ここにもお金儲けしか頭にない人がいるのでしょう。
銭函の風力発電に関しては、小樽市は住民からの要求を拒否しているとのことで、銭函海岸の自然を守る会では以下のような要望をし、話し合いを求めています。
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2010年3月1日
小樽市長 山田 勝麿 様
銭函海岸の自然を守る会
代表 後藤 言行
日本風力開発(株)の事業に対する住民とのトラブル等の調査について
このことについて、小樽市議会平成21年第2回定例会本会議において、市長は質問に対して「環境問題によるトラブルについてでありますが、同社が国内運転または開発中の発電所において現在までトラブルとなった事例はないと伺っております」と答弁しています。しかし、当の事業者が自ら「トラブルを起こしている」と表明することはあり得ないと考えます。したがって、当然、小樽市当局は独自の調査を実施して事業者および事業内容の評価をおこなったものと考えます。ついては、2010年1月26日に窓口である総務部企画政策室の担当者と会談をもった際に私たちは、事業者である日本風力開発株式会社と住民との間で、環境問題に関わってトラブルが発生している可能性のある地域を挙げ、少なくとも6市町村の実態を早急に調査するように求めました。それから1ヶ月近くが経過した2月23日に、当然、調査の結果がまとまったことと思い回答を求めたところ、「調査は要求されたが調査するとは言っていない。調査する意思はない」との回答でした。以上の経緯を踏まえ、あらためて貴職に下記の事項を要求します。
記
1.日本風力開発株式会社あるいはその子会社が開発を進めて、地元住民とトラブルが発生している地域は、全国にあります。
そのような事業者が引き起こすトラブルについては、自治体の長としての行政上の、あるいは道義的な責任が生ずると思います。
全国の実態の調査を行わない理由をお答えください。
2.調査を行わない理由について、書面をもって3月5日までに回答して下さい。
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