奨学金という借金を抱える学生
今日の北海道新聞に、「仕送り0学生10%超す」という記事が掲載されていました。記事によると、仕送りを受けていない下宿通学(親元を離れてアパートなどから通学)の大学生の割合が10.2%に達したとのこと。仕送り額が5万円未満の下宿生も22.7%で、毎月の仕送り額の平均は7万4060円なのだそうです。
場所にもよりますが、アパートの家賃だけでも4~5万円はするでしょうから、7万とか8万の収入では生活ができません。アルバイトや奨学金に頼らなければとてもやっていけないのが多くの下宿通いの大学生の実態です。親元から通えるところに希望の大学があればいいのですが、地方に住んでいたらどうしても下宿や寮生活にならざるを得ません。都市と地方では大きな教育格差が生じています。
私の知人で昨年息子さんがある私立大学に入学した方がいるのですが、仕送りはゼロだと言っていました。学費は親が支払っているようですが、生活費は全額アルバイトと奨学金で何とかしているそうです。4年間で何百万円も奨学金を借りることになるといいます。息子さんが入学する前にそのような話を聞き、私は正直いってかなり驚きました。「それじゃあ卒業と同時に借金地獄になるでしょ。本人はそのこと理解しているの?」と聞くと、「そういうことも計算させたから理解しているはずだし、本人の希望だから・・・」とのことでした。この話に、なんだか溜め息が出てきました。
上記の記事によると、下宿生の収入合計は12万5580円とのことですから、それ位の生活費がかかるということでしょう。アルバイトの収入が月額数万円あったとしても、仕送りがゼロならかなりの奨学金をもらわなければやっていけません。仮に年額100万円(月額約8.3万円)の奨学金を受給したら4年間で400万円にもなりますし、返済時には利息もつきます。正社員として就職できても、返済はかなりの重荷になるはず。いったい何年で返せることか。もし卒業しても就職できず、フリーター生活になれば大変なことになるのが目に見えています。この就職難の時代に、しかもまだ20代の前半から借金の返済に追われることにもなるでしょう。
私も日本育英会の奨学金をもらっていましたが、あの頃は受給金額もそれほど多くはなく、無利子でしたから返済はそれほど大変ではありませんでした。でも、今は受給金額のケタが違います。
かつてはアルバイトで生活を支えて頑張っている学生を「苦学生」といいましたが、いまはアルバイトだけではとても足りずに奨学金頼りです。しかし、20代で多額の借金を抱えてしまうような状況はとても正常とはいえません。教育制度などの改革をしないと、とんでもないことになるのではないでしょうか。
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