ネットでの匿名問題に思う(その3)
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誰もが名前や所属などをある程度明らかにし、自分の発言に責任を持ってブログを書き、ブログ管理人にメールを送信できるようにしていれば、誹謗中傷や名誉棄損といった問題は生じにくくなるでしょう。また、もしそのようなことが生じたとしても、相手に修正や削除を求めることが容易になります。しかし、匿名が氾濫しているインターネット上では、常にコメントを利用した「嫌がらせ」や「荒し」、匿名掲示板などによる誹謗中傷や名誉棄損の問題がつきまといます。
私はこれまでの経験から、コメントを利用した嫌がらせには大きく分けて2種類あると思っています。ひとつは、ブログ管理人とは関係のない、いわゆるネット右翼といわれるような方たちによる大量の書き込みです。少数派の意見に対し、匿名でよってたかって反対意見や批判の書き込みをし、時に「炎上」といわれる状態になります。その意見の多くはネット上で集めた情報です。2ちゃんねるなどで書き込みを呼び掛けることもあるようです。こうした書き込みをする人の多くは「憂さ晴らし」でやっているのではないでしょうか。心が病んでいます。
もうひとつは、ブログ管理人に恨みや反感などを持っている人による、意図的な攻撃です。自分が批判されたことに対し、公の場で正々堂々と反論できない人物、裁判などで争っている相手方や関係者などによる嫌がらせです。管理人を疲弊させたり、信用を低下させることなどが目的なのでしょう。前者が「憂さ晴らし」による嫌がらせとすれば、後者は「恨み」による嫌がらせです。
どちらにも共通しているのは、一人で複数のハンドルネームを使うことがしばしばあること、執拗に質問を浴びせる人がいること、決して自分の名前や所属を明かさないことです。ネットで集めた受け売りの知識をもとに管理人に質問をし、管理人がそれに返事をすると、それに対してさらにいちゃもんをつけるといった具合に、延々と続ける人物もいます。無視したり削除すれば、馬鹿の一つ覚えのように「質問に答えられない」と批判することしかできません。インターネットない時代には考えられなかった低俗で卑劣な行為です。
しかし、冷静に考えてみればこんな連中を相手にする必要などまったくないことは明らかです。たとえば面識のない方に問い合わせをする場合、自分の名前や所属、連絡先などを伝えたうえで要件を申し出るのが常識です。それは手紙や電話でも、電子メールでも同じです。どこの誰かわからない相手からの質問や批判に答えるような人はいないでしょう。ところがこのような常識が崩されてしまったのがインターネットの世界です。コメントという公の場で、決して自分は傷つかない匿名を利用して執拗に批判や質問をすること自体が非常識であり「嫌がらせ」です。無礼な批判や質問などは削除されて当然のこと。そもそも、ブログのコメントは記事に対する感想や意見を寄せる場です。質問があるのなら名前や所属を名乗ったうえで直接メールすべきです。
私のブログに批判的なコメントをされたある方(その方は自分のブログをリンクさせ、メールアドレスも知らせていました)にメールを送信したことがあるのですが、残念ながらお返事はありませんでした。コメント欄でかなり辛辣な意見を書かれるのに、非公開のメールでやりとりできないことが不思議でなりません。
もちろん、批判的なコメントがすべて嫌がらせ目的ではありません。コメントに異論や反論を書くこと自体は構いませんが、少なくともブログ主を批判するのであれば名前や所属などを明らかにしたり、自分のサイトをリンクさせるのがマナーでしょう。返事を強要するなどというのは論外です。また、議論が平行線になれば、その時点で終わらせるというのもマナーです。どうしても公の場で自分の意見を主張したいのなら、自分のブログなどでやるべきです。
自費出版業者の故渡辺勝利氏は、私のJANJAN記事を批判する連載記事をあるサイトに投稿しました。誤解と思い込みに満ちた記事でしたので、私は自分のブログに反論を書きました。科学者などが論文で論争することがありますが、それと同じです。コメントなどではなく、独立した記事で反論することこそ対等な議論というものです。
ネットを利用した嫌がらせの最近の一例として、捕鯨問題を書いているカメクジラネコさんの例があります。「中村透」あるいは「toripan」などと名乗る人物が、ヤフーの匿名掲示板を利用してカメクジラネコさんの批判を展開しました。さらに、この人物はカメクジラネコさんのブログの「リンク集」に登録されているブログなどにも書き込みをし、私のブログ記事にも書き込みがありました。直接関係のない人まで利用して、他者の批判や情報操作をしようということなのでしょう。あまりにも卑劣な嫌がらせに対し、カメクジラネコさんは刑事告訴も検討されているようです。これについては以下を参照してください。
批判や質問、嫌がらせコメントについては、対応に一定のルールを定め、IPアドレスの拒否設定をしたり(IPアドレスは必ずしも一定ではないのですべてに対応できるわけではありませんが)、削除することで対応するしかありませんが、あまりにも度が過ぎる場合は法的手段ということもあり得ます。こんなことが生じるのも、インターネットという環境があまりにも安易に匿名を使用する場だからでしょう。
コメントのルールについて参考になるのが、「THE JOURNAL」です。
ここでは、投稿者について「投稿は原則として本名で行ってください。本名での投稿が難しい場合は、氏名として不自然でない名称でお願いします」となっているのですが、これに反したハンドルネームを使っている方が多数います。ルールを守れない投稿者の多さに、この国の人たちのモラルや責任感の欠如が反映されています。
言論に責任を持たせるために、ブログの開設時に、プロバイダに実名や詳細な住所などの個人情報も登録するようなシステムにし違反者は削除する、掲示板などの投稿に厳格なルールを設けるなどの仕組みが必要だと思います。
2ちゃんねるなどの匿名掲示板については、私はまったく関心がありません。もちろん重要な事実が書き込まれることもあるでしょうけれど、誹謗中傷や名誉棄損、情報操作の温床ともなる匿名掲示板は、益より害のほうが大きいと考えています。
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