平和とは何か
12月4日付けの北海道新聞に「出版20社『平和問う書棚を』」という記事が掲載されていました。その記事によると「平和の棚の会」という平和に関する本を連携して紹介している出版社のグループがあるそうです。この会は、差別や貧困などの問題がなく命や衣食住を脅かされない暮らしを「積極的平和」と捉えているとのこと。またこの会に参加している凱風社の新田準さんは「平和とは生き方の問題。ライフスタイルや文化、政治、すべてが含まれると気付いた」といいます。
真の平和とは、単に戦争がないということだけではありません。貧困や差別のない社会です。さらに生物である人が自然の摂理に従って生き、生物を育む自然環境を大切にする、つまり持続可能な環境を保つことも含まれます。お金や物が過剰にあるということも、貧富の差を生み出し争いの種になるのです。
先日読んでいた「自然の権利基金」の会報に、「人間の寸法」というタイトルのコラム記事がありました。パリのパン屋さんの地下の仕事場は二間×四間ほどの長方形で、パン作りの一連の作業が流れるように行われるといいます。その空間を、ある著名なパン屋の主が「人間の寸法の場所」と呼んだそうです。作業にちょうどいい間合いの寸法こそ良い物を生み出せるという意味です。その大きさを拡大してしまったら「おしまい」だといいます。拡大路線をとるようになれば、良いものがつくれなくなるということです。
日本は太平洋戦争後、まさにその拡大路線をとり高度成長を遂げました。そして行き着いたのは、福祉や医療、教育の切り捨て、貧困層の激増、うつ病や自殺の増加、自然の破壊・・・などだったのです。アイヌの人々は自然からの恵みに感謝し、決して余分な採取などはせず、争いごとはチャランケ(とことん話し合うこと)によって解決したといいます。ここに平和に暮らすことの秘訣があるように思います。
有限の地球で、人類が拡大路線をとったらどうなるでしょうか? 人間の寸法を忘れて欲の塊となり、拡大ばかり目指す社会に、真の平和が訪れることはないでしょう。
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