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2009/11/27

背景にある癒着構造

 25日は「えりもの森裁判」の2回目のラウンド法廷での論点整理でした。裁判官が原告と被告に質問をして主張を確認していくのです。裁判長としては主張がほぼ出揃った今の段階で、論点をきちんと整理しておくことが重要と考えているようです。裁判所は2回のラウンド法廷をもとに、原告と被告の主張の食い違いを整理してまとめるそうです。

 林業のことはただでさえ一般の方には分かりにくいのですが、この問題をいっそう分かりにくくしているのは、受光伐として森の木の一部を伐って苗を植えるという一連の契約と履行の中に、重なるようにしていくつもの違法行為があり、その背景に行政と業者の癒着疑惑が絡んでいるからなのです。一般の人が監視しているわけではない山の中で、森林管理者と業者が癒着して、非常にいい加減に道民の財産である木材の売買が行われていたということなのだと思います。これまでそのようなことにメスを入れる人がいなかったので、こうした構図が公の場で明らかにされていなかっただけのことなのです。それを明らかにして、このような伐採をやめさせることが裁判の目的です。

 そもそも「受光伐」の目的は木材生産でもないし皆伐地への植林でもありません。抜き伐りをすることによって日陰になっている下層木に光を当て、若木の生長を促進させて複層林化を図ることが目的なのです。376本の木を抜き伐りする契約でありながら、376本以外に400本以上もの木を伐って皆伐状態にしたのです。被告は、植林の邪魔になる細い木などを伐って「地ごしらえ」をしたところ、結果として皆伐になったと主張しているのですが、若い木を育てて大きくするのが受光伐ですから、若木を伐って一面を植林地にするという行為自体が矛盾しています。これは拡大造林にほかなりません。

 ほかにも森づくりセンターと業者による二重の収穫調査や、支障になっていない樹木を支障木と認定してタダ同然のような価格で売却したり、伐区の範囲を超えて伐採したり・・・とおかしなことが続々とわかってきたのですが、これらのことも癒着構造を考えると合点がいくことなのです。

 伐採するのは業者ですが、発注者である森づくりセンターには監督責任があります。森づくりセンターは跡地検査といって、伐採したあとで伐根の検査をしています。伐採契約の二倍以上もの本数を伐って皆伐になっていても、検査で適正な伐採だったとしているのですから驚くばかりです。癒着構造によって皆伐という不正行為を見逃し、植林をすることで業者の仕事づくりをし、委託する必要のない収穫調査まで業者に委託してお金を払い、支障になっていない木を支障木として認めて安く売却するなど、業者を優遇しているとしか考えられません。この裁判からは、癒着まみれの土木公共事業と変わらないような、すごい世界が垣間見えます。

 提訴したのは2005年の年末ですからかれこれ4年。1年以上を入口論に費やして2007年の2月に中間判決で原告の勝利。本論に入ったのは2007年の春からですので、次回の2月のラウンド法廷で中間判決から3年になります。思っていたより長い裁判になっていますが、提訴してから新たに不可解なことが次々と生じたという事情があります。さて、いよいよ来年は大詰めを迎えそうです。

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