ようやく止まった北海道の大規模林道
昨日、高橋はるみ知事が、北海道の「山のみち」(大規模林道)3路線7区間すべてを中止する方針を固めたと表明しました。12日の道議会決算特別委員会での質問に答えてのこと。事実上の中止です。理由は、費用対効果が見込めない、地元の市町村が事業実施の意向を示していない、緊急性や優先性が低いとのこと。
費用対効果については自然保護団体がずっと前から指摘していたことですが、ようやく認めました。林野庁の算出した費用対効果がいかにいい加減なものだったかが実証されたということです。これまで北海道はそのいい加減な林野庁の費用対効果を認めてきたのですから、その点もきっちりと反省してほしいところです。もっとも、北海道が算出した費用対効果にも疑問はありますが。
大規模林道とは、林野庁による1973年の「大規模林業圏開発構想」に始まった林道整備。林道というのは名ばかりで、二車線の完全舗装道路です。北海道では1979年から建設され、3路線、総延長約200キロ。総事業費は937億円で、これまでに335億円を投入して46パーセントが完成していました。北海道の負担金は98億円で、すでに64億円を出資しています。完成したところも車はまばらで、大雨などのたびに崩れ、建設による自然破壊も深刻でした。
1973年の計画ですから36年も前に策定された化石のような事業。それに延々と税金を投入してきたのです。士幌高原道路の反対運動も長い道のりでしたが、大規模林道も然り。なんども現場を視察し、林野庁に申入れをし、道庁で交渉してきた私たちにとっては大きな喜びです。
とはいうものの、北海道以外の地域では中止が決まったわけではありません。広島では裁判になっていますし、福島では中止となったのは2区間だけ。これからも全面的な中止を求めていかなければなりません。
どう考えても費用対効果はなく、必要性もなく、自然を破壊するだけの道路。多くの人が声をあげることで、他県の工事も止めることができるのではないでしょうか。
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