美蔓貯水池の欺瞞(5)
前回の記事では地元自治体が受益者負担を肩代わりすることについて触れましたが、6日付けの北海道新聞帯広・十勝版に地元4町の負担金が約17億円にのぼることが報じられていました。支線用水・排水路整備などの道営事業の負担金も10億円以上になるようです。過疎化が進みただでさえ財政難の地方の町がこのような負担をする以上、住民に納得のいく説明が必要なのではないでしょうか。
自然保護団体を無視して着工した開発局
開発局帯広開発建設部と十勝自然保護協会の話し合いは2005年6月から始められましたが、この間、私たちはマスコミを同席させるよう何度も求めました。しかし、開建は頑として認めませんでした。また、開建が当初計画や計画変更について隠していたこと、建設場所選定をめぐる嘘の説明、費用の不透明さなどを追求すると、話し合いを求めても速やかに応じなくなり、待たされてばかりでした。まるで引き延ばし作戦です。
そして2008年8月、私たちになにも知らせないまま貯水池の工事を始めていたのです。たまたま近くを通りかかったときに、貯水池の工事現場を見つけて発覚しました。表面的にはさも誠実に対応している素振りを見せながら、一方ではどんどん事業を進めていたわけです。私たちは開建のこうした態度に見切りをつけ、2009年2月23日の10回目の話し合いを最後に開建との面談を打ち切り、3月12日に計画を白紙に戻して再検討するように求める文書を手渡しました。この申入れについては13日の北海道新聞でも報道されました。
しかし開建は私たちの疑問に明確に答えないまま工事を続けています。取水堰から貯水池を結ぶ約15キロの導水管工事は、岩田地崎建設によって5億8千万円で落札され、来年から本格的な工事が始まる予定です。
こんな横暴なやり方を黙って見ているわけにはいきません。十勝自然保護協会だけではなく、「ナキウサギふぁんくらぶ」や「日本森林生態系保護ネットワーク」「ザ・フォレストレンジャーズ」も計画の凍結を求めて声をあげました。これまでに、開発局や農水相に以下のような文書を発送しています。
美蔓地区国営かんがい排水事業の即時中止・凍結についての申し入れ
(つづく)
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