北海道のヒグマ出没予報の精度
北海道は、この秋からヒグマ出没予想の情報提供をはじめました( 9月18日付北海道新聞)。これによると渡島半島部を除き例年並の出没だろうとのことです。これは、ドングリ・ヤマブドウのなり具合が例年並だという判断に基づいています。
十勝管内では10月18日に浦幌町内で、20日に新得・清水間でヒグマが特急列車に衝突したという報道がありました。さる9月26日には糠平温泉近くの国道273号でバスにヒグマがぶつかっています。また、この夏以降、十勝北部の三股山荘のまわりや然別湖近くの道路にしばしば出没して話題になっていました。こうした情報から、ヒグマが餌を求めてかなり広範囲に歩きまわっている様子がうかがえます。
過去にもドングリが不成りの年には、夏からヒグマが人里に出てくることがありました。そこで、今年のミズナラドングリのなり具合を調べてみたのですが、糠平ではまったくドングリをつけた様子がありません(これは昨年豊作だったので予期された結果なのですが)。さらに確認のため、9月27日に然別湖付近および十勝川上流に出かけた際に、ドングリの成り具合を調べてみました。然別湖の白樺峠で二本のミズナラにそれぞれ1粒のドングリが確認できただけで、それ以外のところではドングリをつけたミズナラを見つけることができませんでした。不作を通り越して凶作といえるほどの不成りです。
北海道は例年並の成りとしているのですが、少なくとも十勝北部では、この判定はあたっていません。これが続発したヒグマの交通事故と、例年並みという出没情報の乖離の原因ではないでしょうか。北海道が予想するにあたって判断材料としたのは、主に道内の大学研究林から集められたデータでした。十勝地方からは足寄町の九州大学のデータだけで、その足寄のデータは凶作となっていました。
ヒグマの出没予想情報を出すことに異存はありませんが、もう少し判定の精度を高めるための努力をしてもらいたいものです。北海道には鳥獣保護員という制度があったはずです。彼らからドングリの成り具合について情報を寄せてもらい、サンプリング地点を増やすなどすれば精度向上に繋がるでしょう。
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