貪欲なる林野庁
先のシルバーウィークに、小夕張岳に登りました。夕張岳に登るには大夕張コースと金山コースの二つの登山ルートがあるのですが、小夕張岳は金山コースの途中にある山です。この金山コース、かなり長いうえにお花畑が少ないので登山者には人気がないようです。この日も、休日というのに誰にも会いませんでした。誰もいない山は静かで最高です。登山者名簿を見ると、9月に入ってからはなんと2パーティーの記録しかありません。もっとも登山道に新鮮なクマの糞があったり、標識がクマにかじられていたり・・・。静かな登山を楽しみたい人にはもってこいですが、クマさんの気配を気にしながら歩かねばなりません。
さて、標高1000メートル近くまで登ったところで、ダケカンバの大きな切り株に出くわしました。この標高になると針葉樹も少なくなり(このあたりは針葉樹は多くありませんが)ダケカンバが優占してきます。針葉樹の生育が困難になってくる高標高地では、伐採などすべきではないのです。少し下にも針葉樹の朽ちた切り株がありましたので、この山はかなり前に伐採が入っているのですが、標高1000メートルもあるところに比較的新しい切り株があるのには驚きました。よくもこんなところまで伐ったものだと・・・。
すると、そのすぐ上で古い作業道跡にぶつかりました。若いダケカンバやササに覆われているので一般の登山者は気付かない人も多いでしょう。しかし、良く見れば過去に作業道がつけられたことがわかります。写真は作業道と登山道が重なっている部分です。山の斜面はかなり急なところもあるのですが、斜めに作業道を切って、こんなところまで伐採したのです。林野庁の貪欲さには呆れ果ててしまいました。国立公園や国定公園の中でなければ、こういう作業道や伐採は問題ないという感覚なのでしょうか。もっとも、国立公園の中でも似たような伐採はやっていますが。
ちなみに、登山口に置いてあった林野庁のパンフレットには「登山のマナー」として以下のように書かれていました。
「高山植物等を採取するのはやめましょう。森林窃盗罪という犯罪行為になります」
高山植物の採取をしないよう呼びかけるのはわかりますが、標高1000メートルのところにまで重機を入れて伐採する林野庁の行為は許されるのでしょうか? 作業道の開削でさまざまな植物を傷めつけたはずです。林野庁こそ、あちこちで盗伐や越境伐採などの違法行為をし、生長量を超える伐採をして天然林をボロボロにしてきた張本人です。盗人が泥棒をするなと言っているようなものです。
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