ダム見直しへの期待と補償問題
18日に、前原国土交通相は、全国143のダムの見直しを表明しました。北海道では9事業が見直し対象として挙げられています。これまで「ダムは自然破壊、税金の無駄遣い!」と、地道に反対運動をつづけてきた自然保護団体にとっても、そして多くの国民にとっても歓迎すべきことです。
今日の北海道新聞には、見直しの対象となった9事業のそれぞれの総事業費と現状が表になって掲載されていますが、総事業費を合計してみると6530億円にもなります。これがはじめから福祉や教育、医療、雇用対策などの予算にされていたなら・・・と思わずにいられません。すでに本体着工がなされているものもあり、かなりの無駄づかいをしてしまったわけですが、政府は中止に向けて本腰を入れてほしいものです。
それと同時に気になったのは、これまで事業を推進してきた地元市町村の戸惑いや建設業界の反対の声が大きくなっていることです。先日の八ッ場ダム中止の報道があったときもそうですが、国が中止や見直しの意思表示をした途端、マスコミは抵抗勢力の意見を載せるようになりました。今後、これらの方たちによる反対や抵抗、そして補償を求める声が高まるのは必至でしょう。
10年ほど前、大雪山国立公園に計画された「士幌高原道路」が、「時のアセス」によって中止になりました。「地域振興」「悲願」として建設に向けて動いてきた地元の町などは、この中止決定に抵抗し、道に補償を求めました。公共事業の中止には、推進した人たちによる「補償」の要求がつきまといます。
で、士幌高原道路の補償はどうなったのでしょうか? 中止になった当初こそ、地元の方たちを中心に代替の振興策とやらが画策されたようですが、今ではそんな話を聞くこともなくなりました。時間の経過とともに振興策はうやむやになり、忘れ去られていくのです。道路建設が地域振興になるというのが幻想であると同様に、その補償を求めたところで代替になどにはならず、結局は幻想に終わるのでしょう。
政府は、抵抗勢力による「補償」の声に惑わされず、公約を守ってきっぱりと中止の判断をしてほしいと思います。
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