蛇紋岩の山に生きるハヤチネウスユキソウ
東北での蜘蛛学会大会ということで真っ先に頭に浮かんだのは、かねてから登ってみたいと思っていた早池峰山でした。早池峰山といえば、本州ではここにしか分布していないアカエゾマツと固有種のハヤチネウスユキソウが頭に浮かびます。アカエゾマツのほうは登山道沿いにはないとのことなのであきらめました。
早池峰山とはどんな植生の山であり、固有種のハヤチネウスユキソウがどんなところに生育しているのかを見たいと思い、仙台での蜘蛛学会大会を初日の22日の途中で切り上げて早池峰山の登山口に向かいました。
河原の坊からの登山道は、沢に沿ってブナやミズナラ、ダケカンバ、オオシラビソやコメツガなどの森林帯の中を登っていきます。やがて森林帯を抜けると岩塊が現れ、山頂まで岩の斜面が続いています。はじめに登山道沿いに出てきたのはハヤチネウスユキソウではなくミネウスユキソウでした。ヤハチネウスユキソウは何処?と足元に目を配りながら登っていくと、しばらくしてからミネウスユキソウに混じってハヤチネが姿を見せました。写真の大きい2つの花がハヤチネウスユキソウで、小さい花がミネウスユキソウです。
たしかにヨーロッパのウスユキソウによく似ていますが、ハヤチネのほうがいくらかがっしりしているような雰囲気があります。もう8月も下旬でしたので花の最盛期は過ぎてややドライフラワー状態でしたが、それでも特有の雰囲気は十分に残っていました。ハヤチネウスユキソウは早池峰山の蛇紋岩地帯に生育しているのですが、比較的上部から山頂の岩場に分布しており、それほど多いというわけではありません。やはりとても希少な植物です。
早池峰山は固有種が多いことで知られていますが、簡単に動くことができない植物の分布と地質の関係にはとても興味深いものがあります。
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