費用対効果が出せない「山のみち」
昨年、北海道は「山のみち」の費用対効果を計算して道議会に提案し、今年の2月には方向性を出すと説明していました。ところが2月になっても動きがなく、3月になるとの話も先送りされ・・・。結局、6月の道議会にもかけられなかったようです。昨年の道庁交渉の際、道の職員は費用対効果の算出に苦労していると言っていたのですが、どうやら未だに費用対効果を示せないようです。
林道建設は、投じた費用を上回る効果がなければつくることはできません。したがって、費用対効果の数値は1.0以上なくてはならないのです。林野庁が過去に算出した大規模林道の費用対効果は実に不思議な数値で、どう考えても1.0以上になるように意図的に操作されていた、というか「はじめに数値ありき」で算出されたとしか思えないものでした。そして林野庁はその算出の資料を廃棄してしまったというのです。
北海道は大規模林道を「山のみち」事業として引き継ぐかどうかを判断する際に、費用対効果を独自に算出しなければならないのですが、まともに計算したなら1.0以上になるわけがありません。そのために、いつまでたっても費用対効果の計算ができないのではないでしょうか。
今、「山のみち」事業の中止に向けて頑張っているのは、北海道と広島県です。広島では受益者賦課金の公的助成が違法であるとして住民訴訟が起こされましたが、先月、新たに住民監査請求がなされました。
多額の税金を使う事業である以上、事業の正当性などが明瞭に説明されなければなりません。自然破壊などによるさまざまなマイナス面も検討されなければなりません。いつまでも費用対効果が出せないような事業は、さっさと手を引くべきです。北海道は、潔い態度を示してほしいものです。
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