山の中のハマナス
9日は道東の武佐岳に登ったのですが、阿寒横断道路(国道241号)を通った際に国道ぶちに植えられているハマナスが目に留まりました。こんなところにハマナスの花が咲いているというのは、ちょっとドッキリします。
ハマナスといえば海岸の植物。それが阿寒国立公園の山中の針葉樹林帯に植えてあるのです。管理者である北海道開発局が植えたのでしょうけれど、ここは海辺でもなければ街中の公園でもありません。こういう自然環境や生態系を無視した感覚には呆れてしまいます。国立公園の中ですから、開発局はここにハマナスを植栽することについて環境省に認可を得ていると思うのですが、環境省は何も指導しなかったのでしょうか?
大雪山国立公園の層雲峡近くの国道法面に園芸植物のエニシダが生えていますが、これは法面緑化の際に導入したものです。外来種が植えられていることを知った環境省が駆除を求めたと聞いていますが、駆除しきれなかったのか今でもエニシダが残っています。
以前、ヌプントムラウシ温泉に通じる林道の法面が崩れて復旧工事が行われたのですが、その際に林野庁が外来種のイタチハギを導入しようとしました。そこで、このような外来種を使わないよう申し入れたことがあります。
このように、今は外来種問題も浸透しつつあり、国立公園などの自然公園では法面緑化に利用する植物も外来種をなるべく使わないという方針になってきています。開発局も環境への配慮をしているそうですから、このような不適切な植栽は見直していただきたいものです。
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今、富良野市博物館(富良野市山部)で外来生物展が行われています。
この展示を作る中で、いかに法面緑化に由来する外来種が多いのかでびっくりしているところです。
今回の展示標本の採集の中でも、法面から道北地区初の外来植物(バラモンンギク)が見つかりました。図鑑に寄るとこの種と少し違っていて亜種ヒメバラモンギク(仮名)の可能性もありそうです。だとすると北海道初記録。
方や外来種を駆除している中で、同じ省庁で外来種の伝搬を助長していることをしている。政策の大きな矛盾と無駄な税金が莫大に使われている訳です。
道路工事の土留めだけをしっかりしていれば、法面緑化は不要なはずです。無駄な税金も投入されず費用も安く済み、防除にかかる莫大な費用もつぎ込まずに済むはずです。
同じ公共事業をするのなら、自然環境への対策にお金を使い、それらを徹底させて行くべきだと思います。それだけでも外来種対策になりますし、自然環境への悪影響も少なくなるなるはずです
この国の政策が、未だに田中角栄の「日本列島改造論」当時の土建屋行政で、利害・利権関係で動き、本筋が通っていない証拠の一つの現れです。
多様性条約を批准した以上、これらの自然環境への配慮や対策は世界への公約であるはずです。政権交代で方向性が、少しでも良い方向に変化することを期待します。
投稿: 斎藤和範 | 2009/08/15 10:32
斉藤和範様
大規模林道の「平取・えりも線」の法面にはイタチハギが繁茂していました。また、3年ほど前の工事だっだと思いますが「置戸・阿寒線」にもイタチハギのほか、ルピナスやムシトリナデシコなどが入っていました。イタチハギは法面緑化の際に種を入れたのでしょう。ルピナスはどうやって入ってきたのか・・・。ムシトリナデシコは河原から持ってきた砂利に種が混じっていたのだと思います。札内川などは、河原がムシトリナデシコでピンク色に染まっていますから。
そういえば、高速道路の法面にもルピナスがありますね。あれは観賞用に種を蒔いたのでしょうか。驚いてしまいました。
法面の崩落が心配であれば、現地のササなどによる緑化をしてほしいと思います。牧草をつかうと春先などはシカが集まってきて、交通事故の危険も高まります。
導入しておきながら、あとから駆除するなど本当に馬鹿馬鹿しいことです。外来植物の導入はいいかげんにやめてほしいですね。
投稿: 松田まゆみ | 2009/08/15 16:54