自然破壊のアウトドア施設
24日は日高から勇払にかけての海岸、25日は石狩浜へ、イソコモリグモの調査ででかけました。調査前に衛星写真で海岸のチェックをしたのですが、日高の三石の海岸に何やら人工的な構造物があるのが気になりました。現場に行ってみてそれが三石海浜公園なるものであることがわかったのですが、私にとってはなんともゾッとする海岸風景でした。
ここには道の駅や海水浴場、バンガロー、オートキャンプ場などの施設があるのですが、そこに自然の海岸風景はなく、砂浜と道路の間には芝が張られ、きっちりと管理された公園になっています。海水浴場は防波堤でぐるっと囲まれた中にあり、要するに人工海水浴場なのです。そして、海水浴場に隣接したふれあいビーチには、どこから持ってきたものやら、海の中に岩が積み上げられて不自然な光景になっています。(写真の奥が海水浴場で、手前がふれあいビーチ)何から何まで人工的な公園になっているのです。
施設から砂浜に下りる通路の手摺は、砂に埋もれていました(写真)。海水浴場の防波堤で、ここには砂が堆積したのでしょうか。もともとあった海浜植物群落をはぎ取り、コンクリートと芝で固めて公園にしてしまったのです。石狩浜などの海水浴場とは対照的ですが、最近はこのように完全に人工的に整備してしまった海水浴場をときどき見かけます。しかし、海水浴とはそもそも自然の海岸で楽しむものだったのではないでしょうか? せっかくあった自然の浜を壊し、きれいな施設をつくり、なにもかも便利にしてしまったならアウトドアということにはならないでしょう。
それに北海道で海水浴を楽しめるのはほんの1、2ヶ月だけで、シーズンオフはどこも閑散としています。たった1、2ヶ月のためにこのような整備が必要なのか? 芝刈や施設管理だけでもかなりの費用がかかるはずです。北海道を旅行していると、小さな自治体でも立派なキャンプ場や公共施設を持っているところがとても多いことに驚かされます。造ってはみたものの利用者が少なく、維持管理にばかりお金がかかるというのが実態でしょう。
観光の目玉となる施設が欲しいという自治体の想いはわからないでもありませんが、人工的な施設を造ればいいというものではありません。自然を楽しんでもらいたいのならそこにある自然を大切にし、施設は最低限にしてほしいものです。海浜の動植物の生態系は、一度壊してしまったら元にはもどらないのですから。
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