クモの網の巧みな罠
ベランダの階段のオオツリガネヒメグモの網に、大きな餌がかかっていました。よく見るとマイマイガの幼虫です(ちょっとピンボケですが、マイマイガの上にいるのがオオツリガネヒメグモです)。クモの網にはときどき網の主よりはるかに大きな餌がかかっていることがありますが、こういう光景を見ると、クモのつくりだした網という罠に感心せずにはいられません。
クモの網といえばオニグモなどが張る円網を思い浮かべる方が多いと思いますが、実際にはさまざまな形の網があります。オオヒメグモやオオツリガネヒメグモは不規則網といわれる網を張ります。その名のとおり、不規則に糸を張り巡らせた網で、糸には粘着性はありません。こんな網でうまく餌が捕れるのかと思うのですが、ときには自分の体の何倍もあるような大きな餌も捕ることができるのです。
その秘密は網の下部にあります。不規則網からは、地面(写真の場合は板)に何本もの糸が引かれているのですが、この糸の地面に近いところにだけ粘着性があるのです。写真は網に霧吹きで水滴をかけて糸を見やすくしたのですが、粘着球が数珠繋ぎになっているところが白く太めに写っているのがわかると思います。網が乾いていると、この糸はほとんど見えません。
マイマイガの幼虫は網の下を歩いていて、この粘着球に捕らわれてしまったのでしょう。マイマイガの体に多数の粘着球がつくと、糸の張力で上に引き上げられるのです。つまり、この網の下を歩いた虫は自動的に吊り上げられてしまうのです。この仕組みによって、素手ではとうてい捕まえることができないような大きな獲物も手に入れることができます。下に丸まって落ちているのは、お食事を終えて捨ててしまったマイマイガの亡骸です。
今年の北海道は雨の日ばかりで肌寒く、昆虫の動きも鈍いようです・・・。でもこんな大物の餌を平らげれば、しばらくは餌がかからなくても大丈夫でしょう。
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