破壊された海岸
本州では工業開発などによってイソコモリグモの生息地がかなり消滅してしまったようです。北海道は工業開発による海浜の消滅はそれほど多くはありませんが、工業開発によってもっとも影響を受けたのは勇払の海岸でしょうか。
勇払の海岸は砂丘が発達し、かつてはイソコモリグモの良好な生息地であったと考えられますが、港湾と苫小牧東部工業地帯の開発の影響を受けました。苫小牧東部工業地帯の開発は事実上失敗したのですが、良好な砂浜は一部しか残されていません。
先日、勇払の海岸状況を調べに出かけて、驚くべき光景に遭遇しました。海浜植物に覆われていたはずの砂丘が突然グランドのように開け、ブルドーザーで平らに均されているのです。よく見るとあちこちにブルドーザーが動いています。均された砂浜を海岸沿いにたどっていくと、近くに砂採りの砂山があり、そこからブルドーザーが出入りしていました。
植物群落が残されているところの近くにはかろうじてイソコモリグモの巣穴がありましたが、ブルドーザーが走り回って固めてしまったところは壊滅的状況です。何のためにこのようなことをしているのかよく分からないのですが、これはイソコモリグモ生息地の大々的な破壊です(写真は穴の中から覗くイソコモリグモ。この穴のあるところは砂丘が破壊されてしまった)。
苫東への企業誘致は失敗したものの、砂の採取やこのような破壊行為によって海岸の自然はどんどん失われていくのです。石狩浜では車の進入などで破壊されてしまった植生を回復させようと、あちこちに通行止めのロープが張られていましたが、勇払海岸の破壊はそれとは対照的な光景です。
« 北海道開発局の矛盾 | トップページ | 文芸社のネット検索をめぐる不思議な現象 »
「クモ」カテゴリの記事
- ナガコガネグモ(2024.08.15)
- ニワオニグモ(2024.08.10)
- ボカシミジングモ(2024.06.25)
- クマダギンナガゴミグモ(2024.06.19)
- ワカバグモの交接(2024.06.18)
コメント