ナイフの規制と銃刀法
改正銃刀法施行によって、5日から、刃渡りが5.5センチから15センチで先端が鋭い両刃の刃物は所持や購入が禁止され、違反すると50万円以下の罰金または3年以下の懲役が課せられます。今日の北海道新聞によると、牡蠣の殻をむくための「カキむきナイフ」の一部にも該当するものがあるとのことです。どうやら「カキむきナイフ」だけではなく、養蜂業者の使う「みつ刀」や、ダイバーがロープを切るために使う「ダイバーズナイフ」なども、形状によっては該当するようです。
今回の銃刀法改正は秋葉原での無差別殺人事件でダガーナイフが使われたことが発端であり、凶器となるような刃物を制限するという目的でした。確かにダガーナイフは日常生活において必要とは思えませんが、「カキむきナイフ」や「みつ刀」のような実用的な刃物にまで適用する必要があるのでしょうか? 銃刀法の改正で刃物を規制しても、包丁などはいくらでも入手できるのです。刃物の規制で犯罪が減るとは到底思えません。杓子定規に規制し、実用的なナイフまで違法としてしまうことにどれだけの意味があるのか疑問に思えてなりません。
私が小学生の頃、子どもたちはボンナイフというカミソリの刃のついた折り畳みナイフを筆箱に入れていました。鉛筆を削るためです。たいていの子どもはそれで上手に鉛筆を削ったものです。今は子どもが学校にカミソリを持ってくるなどということは考えられないでしょうね。そうやって子どもからナイフを取り上げなければならない状況こそ憂うるべきことです。危ないからといってナイフから遠ざけられた生活をしていたなら、大人になってもリンゴの皮も満足に剥けないでしょう。
登山などをする人にとって、おそらくナイフは必需品でしょう。ナイフひとつと思考力さえあれば、いろいろなことができます。私も調査などのときには小形の登山用ナイフを持ち歩くことにしているのですが、野外ではナイフは非常に有用な道具です。サハリンに旅行したとき、案内をしてくださった現地の方が私達の持っているナイフを羨ましげに見ていたので帰り際にプレゼントしたところ、とても喜んでいました。ナチュラリストである彼にとって、登山用の小形ナイフはとても魅力的だったに違いありません。きっと大切に使っていることでしょう。
私は娘達にもそんな有用なナイフを使いこなせるようになってほしいと思い、登山用品店で売っているナイフを買い与えたことがあります。しかし、今の法律のもとでは安易に持ち歩くこともできません。家庭でも学校でも、子どもたちがナイフを使いこなせるような教育をするべきだと思うのですが、今の日本の社会ではまず無理でしょうね。日本人はどんどん不器用になり、刃物を使いこなせなくなるのではないでしょうか。
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