法面工事への疑問
6月はじめのことです。十勝自然保護協会に、道々鹿追・糠平線の法面の改修工事をしたいとのことで、管理者である帯広土木現業所鹿追出張所(北海道の出先機関)の職員から説明がありました。扇が原展望台の向かいの法面が崩れてきているので、崩壊を防止するために工事をしたいとのことです。帯広土木現業所は、国立公園での事業については十勝自然保護協会に説明するということになっているのです。
法面が崩落してきて危険な状態になっているということであれば、工事は止むを得ませんが、問題は方法です。私達は崩落を防止するための植生回復方法などについて提案し、一度に全面を工事するのではなく部分的に施工して様子をみながら対応するように求めました。
その後のことです。現場を通りかかって唖然としました。工事をするという法面は部分的に土がむき出しになって崩れかけているとばかり思っていたのですが、一部には樹木も茂り、見た目には青々として安定した状態です。ごく一部に凍上によると思われる裸地がありましたが、落石が生じるようなところは見当たりません。当面はこのままで何ら問題ないとしか思えないのです。
そういえば、説明のときには法面の図面だけが示されて、写真は見せられませんでした。説明の前に現場を見ていたなら、私達の対応も違ったでしょう。せっかく樹木も入りこんで安定してきているのですから、このままの状態でササなどが定着するような工夫をすれば十分に思えます。この斜面に全面的に手を加えたら、かえって自然破壊になるのではないでしょうか? なんだか、工事のための工事に思えてきました。
このあたりの道路では近年あちこちに落石防止柵を設置しているのですが、落石などありそうにないところにまで柵を設置しているのです。写真は落石防止柵の工事をしているところですが、この斜面のどこから石が落ちてくるというのでしょうか? どちらの工事も過剰な整備としか思えません。
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