劣化するテトラポット
今年はイソコモリグモの生息調査のために北海道の海岸を見てまわりましたが、日本の海岸がいかにテトラポットで囲まれているかということを改めて実感しました。浸食の烈しいところは、まさにテトラポットで埋め尽くされています。そのテトラポットに使われているコンクリートの量たるや、凄まじいものです。
しかし、コンクリートとて永遠に形を保っているわけではありません。この写真のように、波に打ち砕かれてボロボロになってしまったものも見受けられます。コンクリートの質にもよるのでしょうけれど、何年でこんな状態になるのでしょうか? 砂丘が発達した場所ではしばしば砂の採取が行なわれていますが、海岸の塩分が含まれた砂をコンクリートに使用したなら、その寿命も短いはずです。
コンクリートの寿命はおよそ100年といわれていますから、今はしっかりしているテトラポットもいつまでもそのままというわけではありません。ボロボロになってしまったら、また新しいものを設置しなければならないでしょう。この国はそれを永遠に続けるのでしょうか? コンクリートでできた堰やダムも寿命というものがあるはずです。いずれ寿命がきたときに、どうするつもりなのでしょうか?
ダムが土砂を止めてしまうために海岸の浸食が進み、大量のコンクリートが投入されています。最近ではダムの堆砂が進み、溜まった土砂を毎年のように浚渫してダンプで運び出しているところもあります。たぶんダムがある限り、ずっと続けなければならないでしょう。堆砂問題はこれからますます深刻になっていくはずです。ダムがあることで、悪循環にはまり込んでいます。
川をとりまく生態系の破壊、堆砂問題、コンクリートの寿命などなど・・・先のことを見据えるなら、もうダムを造る時代ではないはずです。そして、これからは壊してしまった川を少しずつ本来の川の姿に戻していくことを選択すべきです。ボロボロになったテトラポットはそんなことを語っているように見えました。
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