崩れる皆伐地
6日に、タウシュベツ(大雪山国立公園内)の皆伐地に調査に入りました。トドマツの苗を植林してから二度目の夏を迎えるのですが、昨年はほとんど生長していません。大半の苗は頂芽が枯死し、葉の色も生気がなく黄緑色をしています。完全に枯れてしまった苗も多数ありますし、崩れてきた土や岩屑(がんせつ)に半ば埋もれている苗もあります。苗は列に植えているのですが、消えてしまった苗もあります。
このあたり一帯は岩屑が堆積した上に森林が成立しています。したがって、森林を皆伐して表土を剥がすと、そのすぐ下の岩屑がむき出しになり、ガラカラと崩れることになるのです。タウシュベツの皆伐地はかなり急斜面ですから、安定した角度になるまで何年にもわたって崩落がつづくことになるでしょう。今年は、昨年に比べて崩落が目立ってきたようです。
斜面が絶えず崩落していくために、表土が残されていた部分も、少しずつずり落ちていくことになります。雨などによって絶えず岩や土が動いていくので、まわりから樹木の種がとんできて発芽しても、土ごと流されてしまい簡単には定着できません。たとえカンバなどがうまく定着できたとしても、カンバの若木はシカの食害を受けますので、盆栽のようになってしまい大きく生長できない可能性もあるのです。
大規模林道の建設予定地を視察した時も、「岩なだれ」が生じて沢が岩屑で埋まっている所がありました。斜面に作業道を切ったことが原因で、一部の斜面が崩れ落ちたようです。岩屑が堆積した斜面に重機を入れて壊すと、取り返しのつかないことになってしまいます。林野庁は、「風倒木処理」の名目のもとに、やってはいけないことをやってしまいました。
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