クマが通り抜けたベア・マウンテンのフェンス
十勝のサホロリゾートにあるヒグマの放牧施設「ベア・マウンテン」のフェンスをはじめて見たときには、「シカやキツネならともかく、ヒグマを飼う施設のフェンスなのか?」と目を疑いました。電気柵を設置し、柵を二重にしているとはいうものの、金網製のちゃちなフェンスなのですから。十勝自然保護協会では、開園前から許可を出した十勝支庁や事業者の加森観光に、さまざまな疑問点ついて問いただしてきました。しかし十勝支庁は「『北海道動物の愛護及び管理に関する条例施行規則』で定める施設基準に適合しているかどうか審査し,また現地調査し,適合したものであると判断したところであります」として、許可が適正であったと主張しました。
ところが、開園後まもなく外部から視察したところ、外周フェンスにクマが容易に通り抜けできる大きな空隙があったことを発見したのです。そこで再度、質問書を送付したのですが、回答期限を2週間もオーバーして届いた回答も、先の回答と基本的に変わらないものでした。現地調査をしているのに、クマが通り抜けできる穴のあるフェンスが、条例で定める基準に適合しているというわけです!! その後、この空隙には事業者によって金属製の格子が取り付けられました。
これで問題がなくなったかといえば、とんでもありません。実は、冬季閉園中に野生のヒグマが二重のフェンスの間に入り込み、外周フェンスを通り抜けてしまったとの情報がありました。この件について十勝支庁に質問書を送付したところ、ヒグマの侵入についてはあっさりと認め、フェンスを通り抜けたことも否定しませんでした。穴を塞いでも、ヒグマが通り抜けできるフェンスだったことが証明されたといえましょう。これは、フェンスが条例で定めた基準を満たしていなかったことを意味します。常識的に考えたなら、許可を取り消さなければならない事態ではないでしょうか。
で、十勝支庁に見解を求めたのですが、「サホロリゾート ベアマウンテンのヒグマ飼養施設については、動物愛護及び管理に関する法律の基準に従い、飼養しているヒグマの逸走を防止出来る構造及び飼養の方法について支障無いことを確認し、許可しております」という回答が、質問をした翌々日に返ってきました。都合の悪いことには一切答えず、「臭いものに蓋」をするかのような回答です。この許可の件は、十勝支庁にとってよほど都合が悪いことなのでしょう。
この問題については、JanJanの以下の記事も参照してください。
自然な生態展示できるのか 北海道・新得町に建設中のヒグマ放牧施設
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