破壊されたイソコモリグモの生息地
31日から1日にかけて、また道北に行ってきました。このところ毎週のようにイソコモリグモの調査です。
ここは天塩町の海岸で、このあたり一帯はまだ生息ができそうな環境が残されています。昨年のデータをチェックしながら、海岸線の様子を確認していきました。昨年イソコモリの巣穴を確認していた場所に行ってみると、写真のようにブルドーザーによって海岸が改変されており、イソコモリが棲めるような状況ではありません。「あれれ!? 去年は確かここに巣穴があったのに・・・」
家に帰ってから、昨年の写真と今年の写真を見比べてみました。
これが、同じ場所の昨年の写真です。海岸は浸食によってやや段丘化しているのですが、昨年までは海岸には人手が加えられてはおらず、自然のままの状態でした。写真のように海浜植物がまばらに生えている砂地があり、ここで巣穴が確認できたのです。
この地点から南は写真のように海岸に沿って防風林が造られており、柵で囲まれています。ところが海岸浸食が進んで、防風林の際まで削られてしまいました。そこで、防風林が浸食されないようにブルドーザーで斜面をつくって植物で覆い、斜面下にブロックを入れているのです。昨年までは人工的な斜面は防風林のあるところまでで、ここから北は自然のままだったのです。ところが、今年はそこにもブルドーザーが入り、南側と同じように人工的な斜面が造られてしまったのです。そのうち、砂浜にテトラポットが並べられるかもしれません。
恐らくこの工事は今後も延びていくと思われますので、生息地が年々破壊されていくことになるでしょう。このようにして海岸線は少しずつ人工的になり、生息地が分断化され縮小していくのです。
工事をした人達は、ここに絶滅危惧種が生息していたなどとは思ってもいないのでしょう。
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