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2009/05/28

文芸社の広告塔と化した読売新聞

 読売オンラインに「自費出版入門」として、自費出版に関する記事が4回の連載で掲載されています。

創作意欲を満たす風流な趣味と心得よ 

創作意欲を形にする醍醐味を堪能

目的に合わせ、本作りナビの出版社選びを 

本ができた喜びを分かち合おう 

 1回目の記事では、自費出版の請負事業をしている中央公論事業出版の平林社長のコメントを紹介し、「プロが書いた本でもなかなか売れない時代に、自費出版の本が一般書店で売れるということは考えにくい」と、アマチュアが書いた本が書店でほとんど売れないことを指摘しています(中央公論事業出版では販売サービスも扱っていますが、ホームページでは著者のリスクやデメリットも説明されています)。

 ところが3回目では、販売体制を整えている出版社かどうかを確認することが大切だという趣旨の、文芸社の社員のコメントを紹介しています。さらに4回目になると「自分の本が本屋に並ぶところを見たいと考える人は多い。このシリーズの1回目で『自費出版の本を売って儲けようと思うな』というアドバイスをしたが、それと、『本屋に並べて、多くの人に手に取って見てほしい』という願いは別のものだ。愛情をこめ、エネルギーを注いで作った本を多くの人に見てほしい、というのは、ごく自然な思いでもある。自分の本が全く未知の人にどう評価されるか、どきどきしながら見守る体験をしてみるのもおもしろいだろう」と、書店に置くことを勧めるかのような内容になっていきます。

 はじめにアマチュアの本の販売が困難であることを知らせながら、「書店販売」を売りにして悪質商法を行っている文芸社社員のコメントを紹介し、デメリットも説明せずに書店販売を安易に勧めているのです。「販売」を掲げた悪質出版商法に対して注意喚起すべきマスコミが、どういう神経なのでしょうか。

 2回目の記事では費用について書かれています。ここで「注文住宅と同じ」として説明されているのは請負契約における費用請求方法です。文芸社が「流通出版印税タイプ」として多くの著者に勧誘する出版形態は請負契約とはいえませんから、請負契約の請求方法と同じと捉えるべきではないのですが、そのような説明はまったくありません。3回目の記事では自費出版社の種類と出版社選びについて触れられていますが、ここでも肝心の契約形態の違いと、一部の出版社が行なっている不透明で過大な費用請求についてはなんら触れていません。

 マスコミがこんな書き方をしていたら、読者は悪質な商法を行っている出版社に誘導されてしまいます。この読売新聞の連載記事は、文芸社の詐欺的商法を正当化し宣伝しているかのように感じられます。新聞社の見識が問われる記事です。

 ウィキペディアの「文芸社」の項目は、しばしば文芸社に都合がよいように書き換えられているようですが、この「ノート」に興味深いコメントが書かれています。「JANJAN記事をソースにするのはいかがなものかと。書籍とか5大紙か専門誌による報道が必要ではないでしょうか」(2009年1月30日付けのコメント)とのこと。

 いったいどのような根拠のもとにJANJANの記事はウィキペディアのソースには不向きで、書籍や5大紙、専門誌はソースとして適切だというのでしょうか? 論拠も示さず、媒体の種類よって記事の信憑性を判断するとはナンセンスであり馬鹿げた主張です。今や日本のマスコミは「マスゴミ」と揶揄されるごとく、その報道はひどく劣化しています。広告を掲載している企業の問題点は、事件にでもならない限り報道しません。読売新聞も然り。

 私のブログの削除要請問題があった直後にこのような記事が読売新聞に掲載されるというタイミングから考えても、こうしたマスコミ記事の裏になんらかの意図を感じざるを得ません。

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