文芸社の思惑
昨日の記事の続きです。
渡辺勝利氏は、「自費出版を殺すな2」の中で私個人のことについても触れていますので、補足させていただきます。私は渡辺氏が文芸社から提訴されたという情報を得て裁判に役立ててもらうべく資料を提供しましたが、それが渡辺氏と連絡をとることになったきっかけです。
渡辺氏とは電話で何回か話しをしたほか、事務所を訪ねてお話しを伺ったことがあります。訪ねたのは裁判が終わってからのことです。渡辺氏との話のなかでとても印象に残っていることがあります。
文芸社が渡辺氏に「自費出版クラブに入れてもらえないか?」というようなことをいってきたというのです。自費出版クラブとは、自費出版業界の健全化のために渡辺氏が自費出版業者の方たちに呼びかけて立ち上げた組織で、彼はそこで業界のガイドラインのようなものを作りたいと話してくれました。
渡辺氏は裁判が終わってからも「文芸社商法の研究」という裁判記録を出版して文芸社に批判的な立場をとっていましたが、そんな彼に文芸社のほうから近づいていたということです。提訴した相手に同調するようにして近づいてくるとは、なんとも不可解な会社だと私はいぶかしく思いました。いったいこれは何を意味したのでしょうか? 私には何らかの思惑があったのではないかと思えてなりません。
自費出版クラブについては詳しいことは知りませんが、活動が停滞しているという話は聞いてもガイドラインを作ったとは聞いていません。では渡辺氏が望んでいたガイドラインはどうなったでしょうか? それは彼がリタイアメント情報センターの自費出版部会に部会長として関わることで達成されました。そしてそのガイドラインには文芸社も賛同業者として加わっています。しかし、尾崎浩一氏の深く関わるリタイアメント情報センターは、文芸社との癒着疑惑が持たれているのです。
私は渡辺氏が尾崎氏に利用されるのではないかと懸念して、尾崎氏の疑惑を彼にメールで伝えたことがあります。しかし、彼からは何の返事もなくその直後に自費出版部会長に就いたのです。それが彼との最後のやりとりです。渡辺氏は尾崎氏の疑惑を知りながら無視したということでしょう。このことをとても残念に思っています。
ところで、渡辺氏は自著「自費出版を殺すな」(東京経済)の最後の部分で文芸社のことについて触れています。この中で彼は文芸社が渡辺氏との論争を参考にして軌道修正してきたとして一定の評価をしているのですが、文芸社については「…からだと聞く」「…成功したようである」「…心がけているという」というように、多くのことを他者からの間接的な情報によって判断されているようです。では、その情報は誰からもたらされたのでしょうか? 私は文芸社と関わった方たちの声を直接聞いていますが、そこから見えてくる文芸社の実態は渡辺氏の認識とはかなり違うものです。彼のところには真実が伝わっていないのではないかと思えてなりません。そのような情報をもとに彼が私を批判しつづけるとしたら、とても虚しく、また危険なものを感じます。
私は、渡辺氏が同業者でありながら果敢に共同出版を批判してきたことに敬意を表していますし、渡辺氏の行なっている流通型の自費出版も評価していますので、まさか公の場であのような誹謗中傷に近い発言をされるとは思ってもいませんでした。批判されるのはご自由ですが、渡辺氏には自分の置かれている状況を見つめなおしていただきたいと心から思っています。
なお、渡辺氏は「この人はかつて筆者のところにも何度か連絡をしてきた。共同出版の問題について質問に応えたり、意見を交わしたりしたことがある。ある時、筆者がその考え方に間違いがあると指摘すると、それから連絡はなくなった。新風舎騒動の時も『おかしな事を言い続けているな』と思っていたが、あの時期に批判をしてもかえって事態を混乱させるだけだと思い、ほうっておいた」と書いています。
お互いに見解に違いがあることは認識していましたが、彼から私の考えに間違いがあると指摘された覚えはありませんし、連絡を絶ったのは渡辺氏の方です。意見は異なっていても、お互いの見解は尊重していたと認識していました。細かいことに目くじらを立てるつもりはありませんし記憶違いということもありますが、公の場でこのように書かれるのは正直なところ心外ですので、ここに指摘しておきます。
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