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2009/01/09

これが白紙での検討なのか

 8日は、大規模林道問題北海道ネットワークが、「山のみち」の中止を求めて北海道に意見書を提出しました。

 北海道は「山の道」(大規模林道から北海道が受けついた事業)について、10月に開催した地元での説明会でも、また大規模林道問題北海道ネットワークに対しても「白紙で考える」と説明してきました。ところが、自然保護団体が北海道に情報開示請求をしたところ、2007年の12月末日までに4ヶ月かけて「道営計画調査」(委託調査)をしていたことがわかったのです。

 中止を考えている区間もあるのですが、峰を越す林道を開削して既存の林道とつなげるルートを検討していたのです。

 白紙といいながら、密かに独自の路線検討をしていたというのはどういうことなのでしょうか? これまで何度となく交渉をもってきたネットワークに対しても、このような調査をしているという説明はまったくしておらず、隠してきたのです。情報開示をしていなかったら、わからずじまいでした。なぜ地元住民や自然保護団体との意見交換会で説明しなかったのでしょうか? 

 白紙で検討するというのなら、まずは事業の目的や必要性を明らかにしなければなりません。目的が不明瞭で必要性のない道路であれば止める、というのが白紙からの検討です。そして必要と判断されたなら環境への影響、費用対効果の算出、路線の検討などを行なって建設が妥当か否かをさらに検討しなければならないはずです。やることの順序がおかしいとしかいえませんし、欺かれた気分です。

 では、目的や必要性はあるのでしょうか?  大規模林道の当初の目的は、計画された大規模林業圏での木材生産のための中核林道でした。しかし、大規模林業圏開発計画そのものはとっくに破綻してしまったのです。その後は地域住民の生活道路とか、森林の多面的機能を担う幹線林道などと目的をすり替えて続けられてきたのですが、人も住んでいない山奥の道路は生活道路とはなりませんし、森林の整備は既存の林道で十分行なえるのです。

 さらに、希少な動植物の生息地を破壊し、生態系・生物多様性に大きな影響を与えるにも関わらず、きちんとした環境調査も行なわれていません。というのも、長大な路線を区間ごとに細切れにしたり道幅を部分的に狭くするなどして事業規模を小さくし、アセス逃れをしてきたのです。過去に一部で環境調査が行われていますが、それとてきわめて杜撰なものでしかありません。

 また、すでに開削されたところでは大雨などのたびに崩落を起こしており、永遠に補修が必要になります。しかも、受益地の多くは国有林なのです。北海道がなぜ国有林の整備のための道をつくらなければならないのでしょうか?

 これらの問題にきちんと答えられなければ、計画は先に進めないはずです。そして、もちろん北海道はこれらにきちんと答えていません。必要だという声がある、ということしか説明できないのです。

 さて、北海道は費用対効果を算出し、二月末日までに結論を出すとのことです。この費用対効果はどのように算出するのでしょうか? 新たに峰越しの道を開削することで、どのような便益が生じるのでしょうか? たとえばアクセスが短くなったとしても、それによるコストの削減はごくわずかでしかないでしょう。

 大規模林道が緑資源機構という天下り組織のための事業であり、緑資源機構は談合の温床になって解体されたことを踏まえ、また北海道の逼迫した財政を考えて、北海道はまっとうな結論を出してほしいと思います。

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