越境伐採疑惑と林班図
昨日は「えりもの森裁判」の口頭弁論でした。
今回、裁判所に提出した準備書面は生物多様性に関する主張ですが、法廷で裁判長がこだわっていたことのひとつは、以下の記事にも書いた越境伐採疑惑に関わる林班の図面に関することです。
森林を管理するためには、森林の位置を定めて区分けし、その区分けごとに状況を詳しく記載した台帳が必要になります。
森林の位置を定めているのが林班図です。森林は尾根や沢、林道などを利用して「林班」という区画に線引きされています。林班はさらに森林所有者、樹種、林齢、作業上の取り扱いが同一な部分などによって小班に細分されています。
小班ごとに森林の状況を詳しく記載した台帳を森林簿といいます。森林簿には所在地や所有者、面積、林種、施業方法、樹種、林齢、平均樹高、伐採の方法、材積、成長量などさまざまな項目が記載されています。
森林の伐採計画も当然のことながら森林簿をもとに立てられます。ですから、森林管理の土台となっている区画の線引きは、簡単に変えるようなものではありません。
ところが大変不可解なことに、被告が現地裁判で出した図面の小班(伐区)の線引きは契約時の図面と異なっており、現地(伐採の実態)に即した線引きになっているのです。林班図が契約時とそれ以降で書き換えられている可能性があります。
このために、原告は被告に対して「契約に添付されている林班図の原図」を見せるように要求しました。
被告は、契約の対象となっている伐採に即した図面(伐採の実態に合った図面)が適正だと主張したいようです。でも契約より実態が適正などというのは、どう考えても変です。
原告は、伐採の契約書に添付されている図面に基づいて伐採範囲が限定されなければならないという考えです。伐採計画は小班ごとに立てられるのですから、小班を越えて収穫調査を行うということにはなりません。小班を越えて収穫調査をし、それに基づいて伐採しているのであれば越境伐採であり、違法といえるでしょう。
被告は次回までに林班図を出すことになっています。さて、どんな図面が出てくるのでしょうか。
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