帯広市が環境モデル都市になる不思議
帯広市は今年の7月に、国の補助制度を活用しながら二酸化炭素の大幅削減に取り組む環境モデル都市に選ばれたそうです。全国82都市の中からモデル都市に選ばれたのは6市町だけだそうですから、かなり狭き門だったといえるでしょう。
環境モデル都市は、低酸素社会の実現を目指し、ライフスタイルや都市のありかたなどを根本から変える試みだといいます。
でも、帯広市といえばつい昨年までWRC(世界ラリー選手権)を支援し、大々的に協力してきた自治体です。改造車であるラリーカーは大量のガソリンを消費して二酸化炭素を放出するのですが、排気ガスは普通車の10倍ともいわれています。そのような車が帯広を基点にして十勝の森林を3日間も走りまわる競技を大歓迎していました。
ラリーカーは砂利道の林道を時速100キロ超の猛スピードで走るために、動物と衝突することもありますし、爆音は猛禽類などに大きなストレスを与えます。低速で走ることを前提につくられている林道は、深掘れで地盤構造が破壊されてしまうのです。絶滅危惧種が多数生息している森林で行なわれるこのようなイベントに、帯広市は助成金を出したり、公共施設を独占使用させたりしてきました。
また、帯広市はこれまでも自然保護団体の意見に真摯に耳を傾けようとせず、森林の保全より道路建設を優先してきました。温暖化を防止するには、自然エネルギーやバイオマスの利用だけではなく、さまざまな観点から二酸化炭素の削減に取りくまねばなりません。
二酸化炭素の削減に逆行するイベントに協力してきたことを反省したうえで、環境モデル都市に選ばれたのであるならまだわかりますが、帯広市が「ラリーの支援は誤りだった」と認めたという話しは聞いたことがありません。
このような自治体が「環境モデル都市」などといわれても、なんだか白けてしまいます。自治体が二酸化炭素削減へのさまざまな取り組みをすることは歓迎されますが、その前に過去の反省をきっちりとすべきではないでしょうか。
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