こんな過疎地に誰がした?
厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が、2005年の国勢調査を基に2035年の市町村別の人口推移を発表しましたが、これを見て思わずため息が出てしまいました。北海道の過疎化は深刻です。
思えば、私が北海道にきたのは約30年前。その時から比べると私の住む町の人口はずいぶん減りました。それと並行するように生活はどんどん不便になっていったのです。
公共交通機関では鉄道が廃止されてバスになり、そのバスも本数がどんどん減っています。地方の人たちは車がなければ生活できません。病院や医院も減る一方で、高度な医療を受けるためには遠方まで行かねばなりません。病院通いの必要な高齢者は、近くに病院のある街に移住していきました。すると、公共交通機関を利用する人はますます減って悪循環に陥ります。小さな集落にあった商店は次々と姿を消し、小学校も統廃合が進んでいます。郵政民営化で、郵便局も減りました。
推移予測によると、このあとの30年では減少はさらに加速します。北海道の市町村の場合、半分以下になってしまうと予測されているところすらあります。人口がどんどん減っていけば、小さな自治体では医療も福祉もさらに縮小、切り捨てざるをえないでしょう。ところが、住民の半数以上が65歳以上のいわゆる「限界集落」とされる自治体は、現在の19から132にもなるというのです。これは恐ろしいことです。
北海道では、本州などから退職者の移住を呼び込んでいる自治体もありますが、こんな状況では高齢者の移住などとても望めません。
そもそも北海道の場合、人口(2005年では5,627,737人)の約三分の一が札幌市に集中しているのですが、それ自体が異常といえます。ところが、30年後にはさらに過疎化に拍車がかかり一極集中が強くなると予測されています。
人口が減少しているとはいえ、これほどまでに過疎化が進むとは、いったい誰が想像していたでしょうか? やはり、地方・医療・福祉を切り捨ててきた政策に大きな問題点があったとしかいいようがありません。
失業者が溢れているこんな時代にこそ、政府は無駄な公共事業を廃止し、地方の活性化に力を注ぐべきでしょう。フリーターなどの若者や失業者が地方で農業などに従事できれば、食糧自給率を上げ、地方を活性化させることにつながるのではないでしょうか。
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