自動車のグリーン化税制への疑問
最近、自動車税のグリーン化というものを知りました。環境への負荷を考え、排ガスや燃費性能などで環境への負荷の小さい車の自動車税を軽減し、負荷の大きい古い車には増税するというのです。ディーゼル車では11年、ガソリン車などは13年を越えると自動車税が高くなります。環境への負荷の小さい車に買い換えることを勧めているかのようです。
ところが、環境負荷の小さい車を買っても自動車税が軽減されるのは新車を購入してから2年間だけなのです。それに対して、古い車への増税はずっと続きます。環境対策といっても、これはちょっとおかしいと思いませんか? このことは以下のサイトでも指摘されています。
先日の記事「トヨタのテストコースは必要か?」で紹介したサイトの以下のページに、自動車の平均使用年数が出ています。
スウェーデンは何と20.3年も使用するのです。アメリカでも15.5年。これに対して日本は11.6年。スウェーデンの半分程度しか使っていません。
スウェーデンといえばボルボですね。知人でボルボに乗っていた人がいますが、やはり20年くらい乗っていました。それくらいは乗れるようにできています。今年の春にスウェーデンに行ったときに車をちらちら見ていましたが、日本車もずいぶんありました。国産車でも外車でも、スウェーデンでは一台の車を長く乗るのが当たり前なのでしょう。
7年ほど前にサハリンに行ったのですが、サハリンは日本の中古車だらけです。ちょっとの不具合くらいでは廃車にしません。一部の窓が開かない、などという車でも平気で乗っています。日本の中古車は、まだまだ乗れるのです。日本は車まで使い捨てのようにしてきたといえるでしょう。
新車の製造や廃車の処理に多量のコストとエネルギーを投入することを考えれば、一台の車をできるだけ長く乗ったほうが環境への負荷は少ないはずです。であれば、古い車への税金を増やすというのはおかしいとしか思えません。
で、古い車の多い沖縄では、結果として自動車税で税金収入が増加しているのです。
燃料が高騰し、物価高がつづいて庶民の生活が苦しくなる一方ですから、これからは車の買い替えも自粛する人が増えるでしょう。としたなら「グリーン化」とは、環境対策というよりも増税の制度といえるのではないでしょうか。
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