ダムに殺された然別川(1)
今日は、然別川に行ってきました。というのは、この川の支流の3の沢にある砂防ダムを魚が遡上できるように改修工事をするという計画があるからです。
現場を見て驚いたのは、小さな沢にそそり立つ高さ12メートル幅77メートルの巨大な穴あきの砂防ダム。下流側の川底はコンクリートで固められています。
上流側に行ってみると、一番上の穴から1メートルほど下まで土砂が堆積しています。水量は多くはなく長靴で簡単に渡れる小さな沢に、あまりにも不釣合いな大きな砂防ダムが造られているのです。
この砂防ダムには魚道がついていないため、中央部分を壊して金属製の格子状の構造物をはめ込み、魚が遡上できるようにするというのが河川管理者の説明です。改修の事業費はおよそ2億円とのこと。庶民にとっては驚くべき金額ですね。
近くに人家もない山奥の小さな沢にどうしてこんな巨大な砂防ダムを造ったのかという疑問が湧いてきます。沢は安定していて大きな石などはなく、大雨で増水したとしても大量の土石が流れてくるとは思えません。ダムには流木も貯まっていません。あえていうなら、沢沿いに造られた林道から流されてくる土砂を止めているということでしょう。ほとんど必要性が感じられない砂防ダムです。
さて、本流はどうかというと、上流にも下流にも砂防ダムがあります。魚道はついているものの、機能しているかどうかはきわめて疑わしい状況でした。取り付け口の落差が大きいため、大型のニジマス(外来種)であれば遡上できてもオショロコマなど小型の魚はとても遡上できるとは思えないのです。砂防ダムによって、魚の移動は困難あるいは不能状態になっています。
支流の砂防ダムを壊して魚が移動できるようにするのはわかります。しかし、格子状の構造物が必要とは思えません。壊すだけで十分です。また、本流の砂防ダムの魚道が機能していないのであれば、支流の改修はあまり意味のない工事です。
このあたりには、同じような砂防ダムが他にもいくつかあります。過剰なダム整備に税金を投入して川を殺し、次は魚道を口実にダムの改修工事にお金をかけるというのです。こんなことばかりに税金を使っていていいのでしょうか?
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