現地裁判報告(1)
浮上した越境伐採疑惑
昨日は「えりもの森裁判」の進行協議(事実上の現場検証)がありました。待ちに待った裁判所による現場確認です。
前日、私は現場検証に備えて資料などをチェックしていたのですが、皆伐地の衛星写真を見ていてしばし頭を抱えてしまいました。これまで情報開示で入手した伐区の図と、皆伐地の範囲が合致していないのです。伐区の図と写真をしばらく睨めっこしていましたが、どう見ても皆伐区域が伐区からはみ出しています。
さて、現地で渡された被告(北海道)の「進行協議期日説明用資料」の地図を見て、仰天しました。その地図に書かれている伐区の形が、これまで原告が情報開示で入手していた伐区の図と異なっていて、実際に伐採が行なわれた場所を囲むように線引きが変わっているのです。伐区の境界線が部分的に隣の小班に食い込んで引かれています。
伐採前と伐採後で伐区の線引きが変わってしまうなどということは普通ありえませんし、信じがたいことです。とすると… 森づくりセンターの職員が越境して収穫調査を行ったという疑いが浮上してきます。そして、越境伐採を隠すために後から伐区の線引きを意図的に変えたのではないかという疑惑が生じるのです。 収穫調査をする際、職員は伐区の範囲を確認することになっています。伐区沿いに林道があって分かりやすい場所ですから、伐区の境界を誤るなどということは常識的に考えられません。
ところで、公有林での越境伐採は過去にも明るみになっています。林野庁が上ノ国町で行なったブナ林の伐採では、自然保護団体が越境伐採を見つけました。そして自然保護団体の調査で大量の過剰伐採や違法な土場、集材路などが発覚したのです。林野庁は収穫調査の際に職員が林班の境界を誤ったと釈明していますが、林班界は尾根上にあって分かりやすく、現場に詳しい職員が誤認するとは考えられません。
1987年には、大雪山国立公園内の然別湖北岸でも、幅200メートル、長さ1キロメートル以上にわたって越境伐採(択伐)が行なわれていたことが自然保護団体の調査で明らかになりました。清水営林署(当時)も越境択伐の事実を認めましたが、原因ははっきりしませんでした。
公有林では以前から原因のはっきりしない越境伐採が行なわれているのです。自然保護団体などが調査しない限り、このようなことはまず発覚しないでしょう。
今回の疑惑については、今後の裁判の中で追求していくことになります。疑惑がまたひとつ増えました。
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