オオウバユリのその後
「ちょっと不思議なオオウバユリ」で紹介した庭のオオウバユリですが、立派な実をつけました。
この種がこぼれたら、そこいらじゅうからオオウバユリが芽生えてきそうなので、飛び散る前に処分することにしました。
ところで、この一本に幾つくらいの種をつけるのでしょうか? 試しに実のひとつを開いてみました。裂け目から溢れるように種がこぼれてきます。
一つの実は三つに割けるのですが、一片が2室に分かれています。そして一部屋に薄っぺらい種がぎっしりと並んで詰まっています。一室に入っている種を数えてみると、ちょうど100個ありました。つまり、ひとつの実に600個ほどの種が入っていることになります。 実の数を数えると全部で22個でしたので、600×22で13200個。一株でこれだけの種をつけた計算になります。すごい量の種ですね!
オオウバユリは地下に鱗茎をもっている一回繁殖型多年草です。花をつけるようになるまで何年もかかるのですが、一度花をつけると鱗茎ごと枯れてしまいます。何年もかかって栄養を貯め、大量の種をつけるという繁殖戦略なのですね。もっとも、脇に小さな鱗茎をつくって栄養繁殖もします。
種には幕がついていて、ひらひらと舞うようにこぼれますから、風に乗ればけっこう遠くまでいけそうです。
栄養繁殖だけでは環境が変わってしまったら生きていけません。群落ごと危機的な状況になることもあるでしょう。そういう時のために、たくさんの種をつけて別の場所に移動できるようにしているのです。でも、これだけ沢山の種をつけても大半は発芽できなかったり、発芽しても大きく育つことはないんですね。
一回繁殖型多年草としては、エゾニュウなどの大型のセリ科植物があります。こちらは幾つぐらい種をつけるのか数えたことはありませんが、オオウバユリより多いかもしれません。
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