支笏湖周辺での植樹活動への疑問
先日のJANJANにボランティアによる支笏湖での植樹活動の記事が掲載されていました。
セブン・イレブンでも植樹活動に参加しています。
これらのイベントは、北海道森林管理局の呼びかけている市民参加による森づくり活動のようです。
http://www.hokkaido.kokuyurin.go.jp/kyoku/news/200627morappu.htm
支笏湖畔といえば、1954年の洞爺丸台風で大きな風倒被害を受け、さらに2004年の台風18号で大きな被害を受けました。ところで、これらの記事を読を読むと、風倒跡地に植えている樹種がトドマツとアカエゾマツなのです。また針葉樹の植林地をつくるのかと疑問を感じてしまいます。
以下の記事に支笏湖周辺の風倒被害について興味深いことが書かれています。
このあたりはもともと広葉樹に針葉樹が混じっている針広混交林でした。もっとも洞爺丸台風以前から伐採や植林は行われていたのです。
1954年には5月に暴風があって被害を受け、さらに9月の洞爺丸台風で壊滅的な被害を受けたのです。そして風倒跡地にカラマツやトドマツの造林地をつくってきました。木材生産を目的とした植林です。しかし、針葉樹は広葉樹に比べて根が浅く風で倒れやすいのです。
過去に大きな風倒被害にあっている場所というのは、風の通り道になるところです。そのようなところには針葉樹の森林ではなく風に強い広葉樹を主体とした森林をつくっていくべきだったでしょう。本来の森林も、広葉樹に針葉樹が混じっている森林だったのですから。
上記の「森を造った(4)」にも書かれているように、2004年の台風で大きな被害を受けたところの多くはカラマツやトドマツの造林地で、広葉樹に針葉樹が混じった天然林や、洞爺丸台風のあと風倒木処理をしないで自然の回復に任せたところは無傷だったのです。風倒被害地を皆伐して針葉樹の造林地に変えてしまったのは不適切だったといえます。
ならば、その教訓を生かした森づくりをしていくべきだと思うのですが、相変わらずトドマツとアカエゾマツの植樹をしているのです。苗の入手が容易という事情があるのかもしれませんが、なぜミズナラなどの広葉樹を植えないのでしょうか? 北海道森林管理局は、ここを本来の広葉樹を主体とした風害に強い森林に戻していこうという考えはないのでしょうか?
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