水をかき集めた富村ダム
富村ダムを見て、あらためて驚いたことがあります。先の記事「堆砂で埋まる富村ダム」で書いたように、富村発電所の最大出力は4万キロワットもあります。ダム湖が小さい割りに発電量が多いのです。これは発電する際の落差が大きいためだと思っていたのですが、どうやらそれだけではなさそうです。
十勝川の源流部はいくつもの支流に分かれているのですが、富村ダムはその支流のひとつであるトムラウシ川に造られました。ところが、トムラウシ川の水だけを貯めているわけではないのです。
本流にシイ十勝川取水堰、トノカリウシュベツ川にトノカリ取水堰、そしてポントムラウシ川にポントムラウシ取水堰をつくり、そこから富村ダムに水を送っているのです。
富村ダムは、十勝川源流部の支流をいくつも堰き止め、水をかき集めて発電に利用しているのですね。こんなダム湖もあるのかと驚いてしまいました。源流部の河川を堰によってズタズタにして造られたのが富村ダムです。
しかし、発電量が大きい割りには小さなダムです。このまま堆砂が進めば有効貯水量はどんどん減っていくでしょう。とすると渇水期には十分な水が確保できなくなる可能性があります。堆砂が進んだとしても、堤体に大きな影響を及ぼすとは考えられませんから、トンネルを掘ってまで堆砂を除去したいのは、有効貯水量の確保にあるのではないかと勘ぐってしまいます。
ピンボケですが、この写真はポントムラウシ川からの水の放出口です。堆砂運搬用のトンネルはこの近くに造られる予定のようです。
富村ダムの下流には上岩松取水堰があり、その下には十勝ダム、岩松ダム、屈足ダムがあります。十勝川上流部は堰とダムによってすっかり変えられてしまいました。
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