ダケカンバと秋
写真は、三国山のダケカンバ林です。今年は8月下旬にかなり気温が低くなったものの、9月になってから暖かくなってしまい、紅葉もきれいに色づかないようです。例年なら真っ赤に色づくナナカマドもくすんでいます。
私が北海道の山に登ってとても不思議に思ったのは、針葉樹林帯の上部に見事なダケカンバの森林があることでした。
本州の山では、亜高山帯になるとシラビソやオオシラビソなどの針葉樹林帯が現れ、そこを抜けると急に明るくなってダケカンバとハイマツが現れるのが普通だったと記憶しています。針葉樹林とハイマツ帯の間に明瞭なダケカンバ帯があるのではなく、針葉樹とハイマツの中にダケカンバが混在しているかのようで、存在感が薄いのです。
ところが北海道では、針葉樹林の中に点々とダケカンバやナナカマドが混じり、針葉樹がまばらになってくるとダケカンバが優占し、やがてダケカンバの森林になります。そしてダケカンバが矮性状になってまばらになるあたりからハイマツが出てくるのです。
このような本州と北海道の森林の違いは、地形や積雪、気象条件などによるのでしょうか。
山によって森林の移り変わりの状況は異なるので、木の葉の色づくこれからの季節は樹木の分布を知るにはいい季節です。山肌をみると森林帯の移行していく状況がはっきりとわかるのです。濃い緑の針葉樹林と黄褐色のダケカンバの織り成す斜面に、ひときわ目をひくのがナナカマドの赤です。
そういえば本州の山の紅葉の美しかったことが懐かしく思いだされます。かつて本州の山に登っていた頃は樹の種類などほとんど分からなかったのですが、深い紅色から明るい赤、黄色や褐色…とさまざまな濃淡の紅葉に染まった山肌は、北海道の紅葉とはまた趣を異にしていたようです。あれは樹種の多さによる違いだったのでしょうか…。
どこまでも澄み切った秋の青空の下に、輝くような真っ白い雪を戴いた山々と紅葉の山肌…。都会の雑踏から抜け出し、冷たい空気に浸ってしばし別世界を楽しんだものです。
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