施設と文化
先日、なにやらものものしい看板を見かけました。
ここは帯広空港の近くにあったグリュック王国というテーマパークの入口です。バブル期に流行りましたよね、テーマパーク。北海道ではほかにもカナディアンワールドというのがありましたが、ともに破綻しました。
この看板、ちょっとドッキリしますよね。
空き家になっていた建物に誰かが侵入して住んでいたという噂は聞いていたのですが・・・。看板の文面からすると、学生さんだったようですね。それにしても、「頭上落下物」とか「猛犬に注意」とか「逮捕」とか、すごい文面です。中に猛犬がいるとは思えないのですが…。
この看板、管理者が設置したようですが、名称とか連絡先が書いてないので管理者が誰なのかも分かりません。
グリュック王国というのはドイツを模倣したテーマパークですが、なぜ北海道の片田舎でドイツの真似事をしなければならなかったのでしょうか?
以前、我が家にドイツの青年が泊ったことがあるのですが、その彼もグリュック王国なるものの存在にたまげていました。あまりにも馬鹿馬鹿しいと。そうですよね。もしドイツに日本のテーマパークがあって、日本的な建物が並び、着物を着た日本人が日本の食品とか伝統的な品物を売っていたなら…。想像しただけでもぞっとします。
グリュック王国ができたとき、こんなところにテーマパークをつくっていったい何年もつものか…と思ったものです。北海道のような人口が希薄なところでは、地元住民は高額な入場料のかかるテーマパークなどには何回も行きません。
帯広空港の利用者数とて知れています。そう長く続かないことは目に見えていました。そして、もちろんバブルの崩壊とともに破綻しました。今は観覧車と、屋根の一部にブルーシートがかけられた建物が、畑の中に夢の跡のように佇んでいます。
つまらない施設が破綻するのは当然としても、日本は文化施設を大事にしない国ですね。美術館、博物館などの文化施設もどんどん入場者が減っていて、どこも運営が大変なようです。でも、文化施設とはもともと儲けを目的にしたものではありません。こういう施設こそ国や自治体が責任をもってしっかり運営して欲しいものです。
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