裁判所が現場へ!
19日は「えりもの森裁判」の口頭弁論で札幌に行ってきました。
今回の口頭弁論の最大の関心事は、春から要望していた現地確認のことです。被告側は現地に行くことを渋っていたのですが、前回の口頭弁論では裁判所は予定日まで決め、かなり乗気であることが感じとれました。そして、今回それが決定されたのです。
裁判所が現地に行くというのがどういうことなのか分からない方もいると思いますので、少し説明しましょう。
北海道ではかつて「大雪山のナキウサギ裁判」というのがありました。自然保護団体のメンバーらが、大雪山国立公園の士幌高原道路(道道)の道路建設に関する支出をしてはならないとして、1996年に当時の堀知事を提訴したのです。
この裁判で、提訴の翌年の1997年10月9日に「山上裁判」と呼ばれた現地検証が実現しました。裁判所の職員9名、原告・弁護団・支援する自然保護団体のメンバーなど原告側が40名、被告側が5名、さらにマスコミ関係者など合わせると総勢80名以上が、道路の建設予定地周辺を見るために登山をしたのです。道路建設予定地に広がる希少な自然について、裁判長にその目で見て知ってもらうのが目的でした。
この現地検証では、原告側が風穴、ナキウサギ、植物、クモ、地質などこの地域の特有な自然について、まさに現場で裁判長に訴えたのです。落葉と雪が横から吹き付けてくるような荒天でしたが、現場は支援者の熱気に満ちていました。
公共事業の裁判で、着手前にこのような現地検証をするのは全国でも初めてのことで、メディアも注目しました。
「えりもの森裁判」の場合はすでに伐採が行われてしまっているので、着手前の検証ということではありません。原告がこれまで写真や書面などで説明してきたことを、裁判所に現場で確認してもらうことになります。
現場は皆伐状態になっていますが、受光伐として伐採された木には伐根に印がつけられ、「地ごしらえ」との名目で伐られた木には印がつけられていません。また支障木として伐られた木にもナンバーテープがつけられています。ブルドーザーで破壊されてしまったナキウサギ生息地もあります。それらを裁判所に見てもらい、原告、被告の双方が説明をすることになっています。
その現場確認の日は10月31日です。森林伐採問題を考えていくうえでも、注目される野外裁判だと思います。
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