虫に食べられる樹木
先月のはじめに三笠市を通ったとき、山肌のシラカンバの葉がほとんどなくなって枯れ木のようになっているのに気付きました。今年はマイマイガが大発生しているようですので、マイマイガの幼虫に食べられたのでしょう。
マイマイガの幼虫は食性が広く、カンバのほかにカラマツやハルニレ、ミズナラ、ハンノキ、ヤナギなどいろいろな植物を食べます。10年ほどの周期で大発生するといわれていますが、今年はどうやら大発生の年に当ったようです。
先週、朱鞠内湖に行ったときには、写真にようにダケカンバの葉が虫の食害にあっていました。もう虫の姿はありませんでしたので、食べた虫が何かはちょっと分かりません。
こちらはケヤマハンノキですが、虫の食害のために枯れ木のように見えます。今年はこんなケヤマハンノキがあちこちで見られます。
落ちている葉っぱはこんな感じ。葉脈など硬いところは食べないので、葉は茶色に枯れています。虫の姿はもうありませんが、食害したのはハンノキハムシでしょうか?
普段は木の葉が虫に食べられていてもあまり気付かないものですが、大発生すると一本の木の葉のほとんどが食べつくされてしまうことがあります。こんなに食べられてしまったら木が枯れてしまうのではないかと心配になりますが、普通は枯れてしまうことはありません。
山口博昭氏の「森林昆虫の生活史」(創文)によると、常緑針葉樹では全ての葉の70パーセントが、カラマツや落葉性広葉樹では100パーセントが食害で失われても枯死はしないそうです。また、失葉率が30パーセント以下なら、生長にもほとんど影響がないとのこと。
樹木にとっては葉を食べる虫がいるのは当たり前で、少し食べられるくらいなら全く問題がないのです。ときとして虫が大発生してすべての葉が食べられても、生存には支障のないようになっているのですね。こうして森林の生態系が保たれているのです。
虫が大発生して植物の葉を食い荒らすと人間は害虫が大発生したといって大騒ぎをしますが、アメリカシロヒトリのような外来種を除けば、虫はもともと生態系の一員なのです。それがひとたび人間に被害を与えたら「害虫」として扱われ駆除の対象になってしまうのです。雑草などもそうですね。なんとも勝手なものです。
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