不可解なメール
数日前のことですが、一通のメールが寄せられました。お名前は「アンチ共同出版」となっていますので、要するに匿名です。
「言いたいことを理解してもらえれば返信は必要ない」とのことでしたが、このような責任の所在を明確にされない方に直接返信をする気はありませんので、この場でこのメールに対する私の意見を書かせていただきます。
メールの内容は私が4月20日に書いた「自費出版業者の功罪」という記事への批判です。これは渡邉勝利氏の著書「自費出版を殺すな」についての意見を書いたものですが、私の「読解力、理解力は皆無であり考え方が極めて幼稚」なのだそうです。
私が指摘した部分は渡邉氏が共同出版の問題点について書いている章です。そして渡邉氏の視点は、契約に署名捺印した著者の立場に立ったものではないと主張しただけです。自費出版物の所有権は著者にあるべきだという渡邉氏の主張を否定したものではありません。「読解力・理解力が皆無」だという言葉はそのまま「アンチ共同出版」さんにお返ししましょう。
さて、「アンチ共同出版」さんのある筋の情報によると、文芸社が私を訴えるような動きを見せているとのこと。そして「不特定多数の人が利用する、ネット上で、こんな事を書けば、名誉棄損、営業妨害で訴えられるのは当然ですね」とも書いています。私が不可解だと思ったのは、なぜ匿名でそのようなことを知らせてくるのかということです。
そのような内部情報を入手できるのは、文芸社の内部の者か、あるいは内部の者と親密な関係にある人と推測されます。
「アンチ共同出版」さんは名誉毀損だとか営業妨害だとかいいますが、私のネット上の発言のどの部分が事実と異なっていて名誉毀損だというのでしょうか? かねてから批判されている共同出版について意見を書くことのどこが問題なのでしょうか? それとも公益性がないとか?
「アンチ共同出版」というハンドルネームからは、いかにも共同出版に批判的な人物のように感じられますが、本当に共同出版に批判的な人であれば、私に対してこのようなメールをするでしょうか?
共同出版に批判的な立場の方なら、私の発言に納得のいかない点があれば、お名前や立場を明らかして質問されるのが責任ある態度です。
ハッキリ言っておきましょう。「著作者保護制度で思い出した名誉毀損裁判」でも書いたように、言論に対しては責任をもって言論で対応すべきです。
文芸社にしても、私のネット上の発言に対して納得のいかない点や事実と異なる点があるというのなら、具体的に言論で示すのが社会的に責任のある態度というものです。わが国最大規模の共同出版社ですし、言葉による表現を商売にしているのですから。
私は、文芸社が自社の商行為の正当性についてきちんと納得のいく説明をしたり、問題点を認めて軌道修正をするというのであれば、批判的なことを書くつもりはありません。文芸社は過去にも言論を封じようとしたことがあったようですが、出版社としてあるまじき態度でしょう(「文芸社が言論封じ!」参照)。
武富士が、武富士の実態を暴いた書籍を出版した弁護士さんや版元を提訴した名誉毀損裁判での裁判長の判断を、もう一度ここに示しておきましょう。
「控訴人会社(武富士)は我が国有数の規模を持つ消費者金融業者である。このような企業は、その業界における地位に恥じない企業活動をすべき社会的責任を負っているのであり、膨大な遂行業務のうちの一部にせよ、その業務活動に違法行為があると批判する記述のある書籍については、むしろ謙虚にその事実の有無を調査確認し、批判を招くことのない業務を遂行するよう従業員の指導教育に尽力するのが健全な企業姿勢の在り方というべきである。そして、言論、特に執筆者も出版責任者も明らかにして出版された書籍中の批判記事に対しては、資料の裏付けのある言論によって応酬するのが民主主義社会における表現活動の当然の在り方であり、名誉毀損訴訟の提起を考えるならば、摘示された事実の真否につき、相手方の応訴に対抗できる資料としてどのようなものが存在し、また用意できるかを慎重に調査検討すべきものである」(週刊金曜日 同時ルポ 武富士裁判90 より)
「アンチ共同出版」さんのメールは、私に圧力をかけているかのように感じられてしまったのですが・・・。
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